『高校デビュー』の漫画家・河原和音が初めて絵を担当。子どもの「お母さんへの大好き」があふれた絵本『おにぎりを おかあさんに』
公開日:2026/6/11

仕事や家事に追われて忙しい毎日を送っていると、我が子の成長を見逃してしまうこともあるものです。しかし、子どもは親がいないところでも自分なりに考え、主体性を育んでいます。
絵本『おにぎりを おかあさんに』(あいはら ひろゆき:文、河原和音:絵/KADOKAWA)は、我が子が見せてくれる成長の尊さを改めて実感できるハートフルな作品。イラストを担当したのは、『高校デビュー』『青空エール』(集英社)など、累計部数3,500万部を超える漫画家の河原和音さん。
本作は河原さんにとって、初の絵本。母親を想い、新しいことにチャレンジする子どもの成長を温かみのあるタッチで描いています。
主人公・そうたくんにはお父さんがいません。優しいお母さんは毎日、スーパーで働いています。ある日曜日、お母さんは疲れて寝坊。そうたくんがお昼に食べられるよう、おにぎりを作ってから仕事へ出かけていました。
心優しいそうたくんは自分のために作られたおにぎりを見て、ふと思います。お母さんはお昼ご飯をどうするんだろう……。心配になったそうたくんは、お母さんのためにお昼ご飯用のおにぎりを作ってあげようとひらめきました。
ところが、初めてのおにぎり作りは思っていたよりも難しく、そうたくんは苦戦。手にお米がくっついてしまったり、中の具材に困ったりと初めての試練が次々と訪れます。

それでも、そうたくんはめげず、自分なりに考えて問題に対処。子どもならではのかわいい試行錯誤に、読者はつい目尻が下がってしまいます。

奮闘の末、なんとかできたおにぎりを持ち、そうたくんは雨の中、お母さんの職場へ。しかし、ひとりだと見慣れた街中も違って見え、急に心細くなりました。
早くお母さんに会いたい。そう思い、思わず走り出したそうたくんですが、足が滑って転び、カバンに入れていたおにぎりが押し潰されてしまい……。悲しみが押し寄せ、そうたくんは思わず泣いてしまいます。

しかし、おとなが思うよりも、子どもが親を思う気持ちは強いもの。そうたくんは立ち上がり、お母さんの職場へ向かいます。
職場では、泣きそうな顔で不格好なおにぎりをお母さんにプレゼント。すると、お母さんはそうたくんが想像していなかった受け止め方をしてくれたのです。親子の温かい絆が感じられるこのシーンは、世のママさんの涙腺を刺激するはず

また、母親を想うそうたくんの頑張りに子どもの姿が重なって、我が子と向き合う時間をより大切にしようと思わされもすることでしょう。
なお、親の心に温かい余韻を残す本作は子どもに食の大切さを教えたい時にも役立ちます。ラストには河原さんが描いた種類豊富なおにぎりが掲載されているので、親子で好きなおにぎりを話したり、一緒に作ってみたりして絆を深めるのもいいかもしれません。
お母さんへの大好きがあふれている、かわいらしい本作。手に取れば、きっとあなたも我が子に「大好き」と伝えたくなるはず。忙しい毎日を送っている方にこそ、手に取ってほしい一冊です。
文=古川諭香
