中島健人主演でNetflixドラマ化決定!『SとX』が映す、現代の「性」に潜む痛みのリアル【著者インタビュー】
公開日:2026/6/23
――そして2026年1月からは、続編となる『SとX セラピスト霜鳥壱人の診察室』がスタートしました。続編はどのような経緯で生まれたのでしょうか。
多田:実は、最初は続編を描くつもりは全然なかったんです。その当時はまったく別の新連載に向けてネームを作っていたので……。ただ、ドラマ化が決まって、脚本を読ませていただく機会があって、そこで改めて自分の過去の作品と向き合い直すことになりました。そうしたら、『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』の続きをまた描きたい、という気持ちがすごく強くなっていったんです。
――脚本を読まれたことで、作品の見え方にも変化があったのでしょうか。
多田:やっぱり脚本を通して『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』という作品の可能性を改めて実感できたことが、すごく大きかったと思います。自分以外の方がこの作品をものすごく膨らませてくださっていて。それこそ原作にはないアプローチや、「こんな広げ方があったのか!」と驚かされる部分もたくさんあったんです。それと同時に「この題材ってまだまだ描けることがあるんじゃないか」と強く感じました。
――ご自身の作品を、改めて別の角度から見つめ直す機会にもなったんですね。
多田:それで担当編集さんに「続編をやってもいいですか?」と相談したんです。ただ、やるなら当然、単なる続きではなく新連載としてちゃんと成立するものにしなければいけない、という話になって。そこを目指して形にしていきました。
……やっぱり、当時描ききれなかったことがたくさんあったんですよね。それに『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』を連載していた頃と比べても、社会の空気はかなり変わったなと感じていて。当時はまだ、性の話題そのものがどこかセンセーショナルなものとして受け取られる空気も強かった気がするんです。でも今なら、“性の話”としてだけではなく、“社会の問題”として受け取ってもらえるタイミングなんじゃないかと思えた。だからいっそう「今やるしかない」といいう感覚でした。
――なるほど。続編が始動するまでに『君は武道館に立てない』『真逆な2人はどうにもデキない。』の連載を経験されていますが、その2作品を経たからこそ、「今なら描ける」という手応えもあったのでしょうか。
多田:ありますね。実は『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』の連載が終了した時に、自分の描きたいテーマを届け続けるためにはもっと多くの人に作品を読んでもらうことも大事なんだと改めて感じたんです。
それで、自分がこれまであえて選んでこなかったジャンルにも挑戦してみようと思って描いたのが『君は武道館に立てない』(コアミックス)でした。そちらは自分の知らない世界の話を聞いて、勉強しながら形にしていったという作品で。自分がこれまで触れてこなかった文化を理解しようとするところから始まったんです。マンガとしてのテンポ感や表現みたいな部分は、この作品でかなり学ばせてもらいましたね。
一方で『真逆な2人はどうにもデキない。』(双葉社)は、性の話をもっとキャラクター個人の感情や関係性に落とし込んで描いてみたいと思って始めた作品でした。今思えば『SとX ~セラピスト霜鳥壱人の告白~』への未練があったのかもしれません。
