中島健人主演でNetflixドラマ化決定!『SとX』が映す、現代の「性」に潜む痛みのリアル【著者インタビュー】
公開日:2026/6/23
――今年2026年は、主人公・霜鳥壱人役に中島健人さんを迎えたNetflixシリーズ『SとX』の世界配信も控えています。映像化されることで、“性”というテーマの届き方にも、また新しい広がりが生まれるのではないかと思うのですが、その点についてはどのように感じていますか?
多田:映像化されることの影響は本当に大きいと思います。しかも今回は全世界配信なので、普段あまりマンガを読まない方にも、この作品に触れてもらえるきっかけになるんじゃないかなと期待しています。“刺激的なもの”としてではなく、“性について考える作品”になっていると思うので、そういうふうに受け取ってもらえたら嬉しいですね。
ドラマって実際に俳優さんたちが生身で演じるので、マンガとはまた違ったリアリティが生まれると思うんです。より共感できたり「これは現実にも起こり得ることなんだ」と、自分事のように感じてもらえたりする部分もあるんじゃないかなと。そういう意味でも、映像化によってこのテーマがどう届いていくのか、すごく楽しみにしています。
――Netflixシリーズの世界配信も控え、単行本第1巻も絶賛発売中ですが、最後に、今後作家としてどんなことを描き続けていきたいと考えていますか?
多田:私はずっと、“社会”と“個人”って強くつながっているものだと思っているんです。個人的な悩みや感情に見えるとしても、実は社会の空気や価値観と地続きになっている。今回の“性”というテーマも、まさにそうだと思っていて。だから今後も、社会問題と個人の感情がつながっていることを意識できるような作品を描いていきたいと思っています。
あと、人間の複雑さみたいなものにも、ずっと興味があるんです。人って、言葉で言っていることと本心が違ったり……たとえば、その瞬間は「大好きだ」と思っていても、次の瞬間には気持ちが変わっていたりするじゃないですか。だから私は、人間ってすごく“一貫性のない存在”だと思っていて。そういう矛盾や揺らぎも含めて描きたいんです。
――人間のキレイな部分だけではなく。
多田:はい。でも、そういう信用ならない不完全さがある一方で、「どういう人間でいたいか」は、自分で選び続けられるものだとも思っていて……。だからこそ、弱さや矛盾を抱えながらも「それでも“いい人間”でいたい」と願っている人物を描きたいです。
“いい人間”っていうのは――すごく曖昧なんですけど、たとえば自分にとって嫌だと思うことや恥ずかしい行動をしない人、という感覚に近いのかもしれません。それって自分が社会のなかで生きていくうえでもすごく大事なことだと思うんです。もちろん、いい人間でいるなんて簡単なことじゃない。でもそうあろうとする人を描くことで、読んだ人にも少しだけ「自分も“いい人間”でいたい」と感じてもらえたら嬉しいです。
取材・文=ちゃんめい
