兄妹のバディ感に子どもがどはまりした冒険物語。世界売上1億9400万部『マジック・ツリーハウス』シリーズの新たな舞台は氷河期?【書評】
公開日:2026/7/8

世界で1億9400万部を売り上げる、アメリカ発の大ベストセラー児童書『マジック・ツリーハウス』(KADOKAWA)。物語を楽しみながら、地理や歴史、自然科学などの知識にも自然と親しめる人気シリーズです。
主人公は本を読むのが大好きなジャックと、空想や冒険が大好きなアニーの兄妹。ある日ふたりは森でたくさんの本が置かれたツリーハウスを発見します。このツリーハウスは魔法のツリーハウス。本を開いて「ここに行ってみたい」と声に出すと、なんと本の物語の世界に入ることができるのです。
行ったことがない場所や、決して行くことができない世界を登場人物とともに追体験できる――それは読書の大きな魅力のひとつ。『マジック・ツリーハウス』はまさにその魅力をストレートに味わうことができるシリーズです。持ち前の行動力で未知の世界へ飛び込む、ちょっと無鉄砲な妹・アニー。兄のジャックはそんな妹をハラハラしながら見守りつつ、観察力と思考力でピンチを乗り越えます。
我が家の小4長男は冒険ファンタジー小説が大好きで、どの巻も手元に届くと夢中になって読み進めています。性格が対照的で、足りないところを補い合う兄妹のバディ感に魅力を感じているようで、どはまりしています。一方小2次男はどちらかというと冒険・ファンタジーが得意ではありません。それでもこのシリーズを手に取る理由を尋ねると、「ジャックが自分に似ているから」とのこと。
7月8日(水)発売の最新4巻は『マジック・ツリーハウス マンモスとなぞの原始人』。氷河期と未来の宇宙を舞台に、新たな冒険が繰り広げられます。
魔法をかけられたツリーハウスの持ち主モーガン・ルー・フェイを助けるために“4つのもの”を探しているジャックとアニー。ツリーハウスを訪れたふたりは開いたままになっている本を発見します(「マジック・ツリーハウス」シリーズは全体を通して一つのお話が続いていますが、どの本も単独で楽しむことができます)。そこに描かれていたのは雪と氷に覆われた岩山の絵。「早く、ここへ行きたいわ!」。水泳教室の帰りで水着のままであることも忘れてのめり込むアニーは、思わずこの言葉を口にしてしまいます。そしてジャックが止める間もなく、ふたりは本の世界へ吸い込まれてしまうのです。
たどり着いた先は、一面の雪景色。ふたりが入り込んだ本の題名は『氷河期の人類』でした。寒さをしのごうと入った穴がホラアナグマのすみかだったり、スミロドンに遭遇したりと、今回の冒険もスリル満点。ジャックの慎重さとアニーの度胸、それぞれの持ち味を生かしながら、ふたりは数々のピンチを乗り越えていきます。

心がワクワクするお話の中にも「氷河期とは?」「クロマニョン人とは?」など知識がたっぷり。学習要素の部分は枠で囲われたり、鉛筆マークがついていたりと書き方が変化している上に色分けもされているので、物語を楽しみながらでも頭にすんなりと入ってきます。

巻末の資料では、グラフや写真でさらに詳しく解説。

第二章では最後の“4つのもの”を探しに『月の世界へ』と書かれた本の中へ。2031年に建設されたという、月面基地に到着します。

一冊で2つの世界を冒険しながらそれぞれの知識も学べ、読みごたえのある構成。夏休みの読書のおともにもぴったりです。
日本でも刊行から24年にわたって親しまれ、累計578万部を突破した『マジック・ツリーハウス』シリーズ。昨年からはカラー新装版が発売されています。イラストはすべて描き下ろしとなり、本文もオールカラー化。さらに巻末には学びを深められる資料ページが収録されています。漢字にはすべて振りがながあるので、どの年齢でも楽しめるのも嬉しいポイントです。
まだシリーズを読んだことがない場合は、ぜひ1巻から手に取ってみてください!
文=原智香
