みんなの食べっぷりが気持ちいい!「ごめんあそばせ」で、想像がムクムク。はらぺこめがねの新作絵本『おしょくじちゅう ごめんあそばせ』【書評】
PR 公開日:2026/8/28

「食べものと人」をテーマに活動する夫婦イラストユニット・はらぺこめがねさん。ぱく!とかじるとおにぎりの中身が見えてくる名作絵本『おにぎり ぱく!』など、これまでになかった新しい視点を与えてくれる絵本をたくさん制作しています。
このたび刊行された『おしょくじちゅう ごめんあそばせ』(岩崎書店)は、誰かの食事を“ごめんあそばせ”とのぞかせてもらう、〈読んでおいしいもぐもぐ絵本〉。ここにも新しい発見や驚きが詰め込まれていました。
「ちょっと ごめんあそばせ」「だれが たべてるのかしらん?」がクセになる!

表紙をめくると、「ちょっと ごめんあそばせ」というマダム風の挨拶とともに、プリンの絵があらわれました。カラメルがからんで、ぷるっぷる。口のなかでとろけるのが伝わってきて、じゅるっとヨダレが出ちゃいそう。プリンのまわりには、定規や鉛筆が置かれているけれど?
このプリンの絵には、素朴な疑問が添えられていました。「だれが たべてるのかしらん?」

ページをめくったら、いましたいました、食べてる人が。それは、うれしそうにプリンをほおばる女の子。ママが楽しみにしていたプリンをこっそり食べちゃっているようです。こっそり隠れて食べるときって、なぜかすごくうれしくなるよね。
宿題のとちゅうで3時のおやつかな? あ! 後ろのドアからのぞいているのはママじゃない? いろいろな想像がわいてきます。

さて、2つめに登場したのはスパゲッティ。見るからに濃厚なソースが太麺にからみ、ボリュームがあって、食べたらいっきに元気になれそう。近くに置かれているのは野球ボール?
ここでまたお決まりの問いかけが出てきました。「だれが たべてるのかしらん?」

食べているのは、どろんこの男の子でした。野球の試合に負けたのが悔しかったようで、涙がボロボロ。勝っても負けても、おなかはすくよね。泣けるほどがんばった男の子のために、大好物のスパゲッティを家族がつくってくれたのかもしれません。このページでも、おおいに想像がふくらみました。

ちょっと ごめんあそばせ。
この ぜつみょうな
やきかげんの めだまやき。
ほらほら きみが たれてるわよ!
いったい だれが たべてるのかしらん?
ケチャップ、しょうゆ、マヨネーズ。3種類の味つけをした目玉焼き。きっと食べざかりの子どもたちが食べているのかと思ったら…。このあとに登場する意外な答えにびっくり仰天!
読みながら頭にうかんだ言葉をそのまま代弁してくれるようなフランクなおしゃべりも、本書を楽しめる要素のひとつ。おしゃれなイラストと色使いにも気分が上がります。
あてっこ遊びで食べる人の気持ちを想像する
この絵本では、食事の絵のなかにある背景から、「だれが たべてるのかしらん?」という声がけとともに誰が食べているのかを想像し、あてっこすることができます。でも一筋縄じゃいきません。ユニークな答えが待ち受けているので、ちょっとひねって考えるのがポイント。ページをめくるたびに驚きと発見があるはずです。
そして、食べている人たちを見たら、今度はいろんな想像が頭にうかびました。どうしてそんなにうれしそうなの? 悔しくてもおなかがすくのはなぜ? 目玉焼きに、いろんな調味料がかかっているのはなぜだろう? …ほかにも想像を掻き立てられるページがたくさん登場します。
うれしいときに食べるとおいしい。悲しいときに食べてもおいしい。好きな人といっしょに食べたらやっぱりおいしい。食べ終わって笑顔になっているみんなの顔がうかんできました。食事は人をしあわせな気持ちにしますよね。

ところで、「ちょっと ごめんあそばせ」なんて上品に言いながら、みんながおいしそうに食べるのを、こっそりと、羨ましそうにのぞいているのは誰なんでしょう。お母さんみたいな口調だから、誰かのお母さん? それとも意表をついて、お父さん? いったい、だれが見てるのかしらん? 本を開いてみてくださいね。
文=吉田あき
