SUPER BEAVER渋谷龍太のエッセイ連載「吹けば飛ぶよな男だが」/第62回「レモンかけますね」
公開日:2026/8/27
なので個人的最適解は、すみません、と前置きを入れてからの、「シート倒しますね」宣言。
まア、完全に無駄発言であり、若手ミュージシャンからごく稀に言われることがある「俺、絶対にあなた越えるんで」発言くらい「うん、で?」なのは重々承知はしているのだが、権利の行使と、モラルとのちょうど良いところに着地しているんじゃないかと思っている。クローズドクエスチョンという形でもなければ、モラルという点においてカバーできている気がするし、何より議論にすら発展しない。
そんな無駄なことわざわざ言う必要がない、知ってる分かって言ってる、…、…、表出ないよね、うん表出ない。
この流れ、すんなり。
あくまで個人的な感覚だが、シート全倒しをされたとしても、その前にこの一言があれば容認出来ると思うのだ。「いやだからあなたがどう思おうがそもそも権利が」とかまた引っ張り出さないでくださいね。私今忙しいんで。
互いが互いを受け入れつつ、気持ちが良いか悪いか、を軸に物事を考えられてたら良いのにな、なんてことを、時たまエアコンの風で揺れるおじさんの少ない毛髪をチラチラと覗きながら考えました。
ちなみに唐揚げに「レモンかけていいですか」問題も、「シート倒していいですか」問題の応用が効くと思っていて、「レモンかけますね」宣言に変えれば、あの全員が回答しなきゃいけないような変な時間は回避出来ると思っている。
ただ付随して「苦手な人言ってくださいね」を付け加えると尚よし。レモン肯定派は黙ってても「はーい」とか「ありがとー」とかだけで済むし、否定派は「あ、自分いらないです」と言う自らの意見の主張だけで済むため、「No」と否定をする必要がなくなる(もじもじしちゃう人にとってみれば否定より、主張のがまだ幾らかマシ)。レモン否定派が現れたら、その人の分だけ先に取り分けてあげようね。
擦りに擦られた話題が乱立する結果となった今回。「乗り物におけるリクライニング問題」延いては「シート倒していいですか問題」。そして掠るように触れた「レモンかけていいですか問題」。
タブーと思しきこれらに、自らの意志で触れようと思った勇気、見事なもんです。私は私に拍手を送りたい。拍手しますね。

しぶや・りゅうた=1987年5月27日生まれ。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル。2009年6月メジャーデビューするものの、2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタート。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりにメジャー再契約。「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に起用される。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、2022年10月から12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーも全公演ソールドアウト、約75,000人を動員した。さらに前作に続き、2023年4月21日公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』に、新曲「グラデーション」が、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌に新曲「儚くない」が決定。同年7月に、自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催。9月からは「SUPER BEAVER 都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」をスタートさせ、2024年の同ツアーでは約6年ぶりとなる日本武道館公演を3日間発表し、4都市9公演のアリーナ公演を実施。2025年4月に結成20周年を迎え、SUPER BEAVER 自主企画「現場至上主義 2025」を4月5日、6日にさいたまスーパーアリーナで行い、さらに、6月20日、21日に自身最大規模となるZOZOマリンスタジアムにてライブを行うことが決定。
自身のバンドの軌跡を描いた小説「都会のラクダ」、この連載を書籍化したエッセイ集「吹けば飛ぶよな男だが」が発売中
