先生や保育者の“投稿”から作られた!「発達障害のある子」のための2800の対策

出産・子育て

2017/9/23

『発達障害のある子のサポートブック』(日本版PRIM作成委員会:編 榊原洋一・佐藤曉:著/学研プラス)

 ただでさえ悩み多き子育てだが、こと発達障害児や診断名はつかないまでもグレーゾーンの「育てにくい子」の場合には、さらに悩みは深くなるもの。現在、そうした悩みに少しでも応えようと多くの関連本が出版されているが、中でも発刊以来安定した支持を集める本に『発達障害のある子のサポートブック』(日本版PRIM作成委員会:編 榊原洋一・佐藤曉:著/学研プラス)がある。

 実はこの本、発達障害に関する研究が進んでいたアメリカで、20年以上前から教育現場での学習困難や不適切行動に対するマニュアルとしてバイブル的に教師たちに利用されていたという『PRIM(Pre-Referral Intervention Manual)』をもとに生まれたもの。日米の学校文化の差からそのまま翻訳しても使いにくいため、日本の教師や保育者から成功した対応例の投稿をつのり、3年をかけてまとめた日本版オリジナルなのだ。

 掲載されている事例数は2800。それを「対人関係がうまくいかない」「決まりやルールを守らない」など13の系統に分け、さらに「対人関係がうまくいかない」なら「すぐに怒り出したり、イライラしたり、動揺したりする」「他の子どもと過度の身体接触をする」「他の子どもとけんかをする」など細かく分類した上で具体的な対策を列挙していく。つまり気になる不適切行動を目次から探せば、対策がピンポイントでわかる仕組み。「困った!」にすぐに応えてくれる検索性の高さは大きなポイントだろう。

 たとえば「すぐに怒り出したり、イライラしたり、動揺したりする」場合は、「落ち着いて話を聞く。何度同じことを言っても話を聞く」「緊張し、体が硬くなりがちだと思われるため、体をさすったり揉んだりしながら話かける」「別室などで一人でクールダウンさせてから、話を聞く」など58の対応例が。また、「他の子どもと過度の身体接触をする」場合には、「指先からひじまでの距離を視覚で伝えて“これくらい離れる”と見せる」「自分の思いを伝える身体接触以外の方法を教え、それが出来たときにほめる」「接触していい人、いい方法を教える」など30の対応例が紹介されている。先生によってさまざまだとはいえ、どこか共通点もあり、全体に目を通した上で取り組めそうなアイディアを実践するのがおすすめとのことだ。

 極力投稿のまま掲載されているので、なんだか先生方の熱意が行間からじわりと伝わってくるのも新鮮。なにより実際にうまくいった対応例がこれだけ集まると実に心強いもの。多くの事例を知れば知るほど子どもに対して柔軟になるし、関わる大人の心にも「余裕」が生まれることだろう。

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文=荒井理恵