愛人ビジネスの現場に見る、愛人になる女と愛人を求める男の傾向

業界・企業

更新日:2013/12/4

「どんな世界でも、男女の関係が成り立つ裏には、お金の関係が潜んでいる」

 元愛人ブローカーの著者による『愛人という仕事』(清宮こころ/イーストプレス)には、お金が必要な理由をもった女たちと、妻よりも愛人を必要とする男たちが次々に登場する。つまりは、対価を払ってセックスを求める人と対価をもらってセックスをする人がいるというわけだ。

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 モデルや女優をも含むハイスペック女と、医者や弁護士、一流企業の社長など金を持った男が取引され、ビジネスが成立する。契約のタイプは、大きく分けて2つ。

 ひとつは、1ヵ月に決まった回数会う定期契約。相場は、月額20~30万円ほど。マンション付きの場合もある。

 もうひとつは、単発1回のスポット契約。オーダー内容により金額は前後するが、1回10万~15万円ほど支払われることも。はるかに時給のいい仕事なのだ。

 本書には、物欲を満たしたい女、留学費用を稼ぐ女、依存してしまう女、SM、乱交など男のあらゆる性癖に応える女、整形を繰り返す女、こそ泥女、“ヤリ接待”要因となる女…とさまざまな愛人エピソードが綴られている。スポンサーを得て輝きだす女の子もいれば、泥沼にはまり人生を狂わせてしまう女もいる。詳細は本書を手に取っていただくとして、ここでは「愛人になる女」と「愛人をつくる男」の傾向を本書より紹介したい。
 

【愛人になる女】

(1) 女子大生
男性の話を真剣に聞き、瑞々しさのある雰囲気は、男性ウケがいい。上京したものの金銭的余裕がない子、夢を叶えるための資金稼ぎとわりきる子、ビジネスのノウハウを間近で見たい子などが多いそう。

(2) 看護婦、ネイリスト、エステシャン、アパレル、美容師など
勤務時間が不規則でダブルワークがしずらい女性。若手の頃は収入が少ない上、身支度にお金がかかる女性にとっては、短時間で稼げるおいしいアルバイトになる。

(3) 一般企業の普通のOL
欲を満たすには自分の給料だけじゃ足りない女性。六本木などのキャバクラでアルバイトをして愛人になるパターンも多いとか。
 

 ところで著者は、“愛人になる女”をどうやって探すのか。

 自身も六本木のクラブで働いた経験をもつ著者はまず、六本木や歌舞伎町の有名キャバクラや私鉄沿線のキャバクラ、流行に敏感な女性が集まるクラブやレストランに出向き、“愛人候補”に声をかける。篠田麻里子似の女子大生で、郊外のキャバクラに似つかわしくないロレックスのテンポイントをはめていたため、“怪しい”とにらみ食事に誘う。色白でスレンダー、巨乳でいて話すと頼りない、“絶対にこの子はイケる”と目をつける。時には、クラブの黒服の紹介で知り合うこともある。信頼と品質が求められる愛人ビジネス、“愛人”集めは経験と勘、人脈で行われる。
 

【愛人をつくる男】

(1) お見合い結婚
数回会って話をしただけで身体の相性を確かめず結婚してしまったパターン。

(2) 学生時代の同級生と結婚した男性
良家のお坊ちゃまタイプに多く、学生時代の彼女や初めてつきあった彼女と結婚したパターン。恋愛経験が少ないうちの結婚はリスクがある。

(3) 妻がお嬢様
女性と結婚するのではなく「家」と結婚してしまうパターン。家の都合で結婚した男性は、子供と仕事のポジションを得た頃に本当の恋愛をしてしまうことがあるとか。
 

 著者が集めた重要顧客(男性)には予め条件を聞き、マッチしたところで顔合わせとなる。その後、話がまとまれば、愛人契約が成立するという流れだ。

 そもそも、男はなぜ愛人をつくるか?

 子供ができてから奥さんが自分にかまってくれない、女として見れなくなった他に、一番の根本的な原因は「夫婦間のセックスの相性の不一致」と著者はいう。家庭がうまくいっていても、自分が望む性的嗜好が満たされず、それを愛人に求める。さらに、今でも弁護士の先生や医者の間ではモデルや女優と付き合うことが一種の「ステータス」になるという。外資系企業のパーティでは、女性同伴が当たり前。妻よりも容姿端麗の愛人の方が、顔が立つというわけだ。

 そんな愛人ビジネスだが、SNSの発展で、愛人仲介人がいなくても交渉も価格も手軽になってきたという。著者は、すでにこのビジネスから手をひいているが、女の欲の分だけ男のニセモノの愛もあり、互いに利用し合あう愛人ビジネスは、なくなることはないという。

 また今日もどこかで、男と女が取引されているのかもしれない。

 

文=中川寛子