金持ち大家さんへの道は、掃除から始まる―「気づく」ことから始める、空室対策のすごい技

ビジネス

公開日:2015/12/29


『金持ち大家さんがこっそり実践している 空室対策のすごい技』(浦田 健:監修、日本不動産コミュニティー:編集/日本実業出版社)

 最近、副業の1つとして不動産投資が注目を集めており、この書籍のタイトルが気になったビジネスパーソンが少なからずいるはずです。自分で物件を購入し、大家さんとなり、ゆくゆくは家賃収入だけで生活をしていく……。多くの人が一度は夢見たことのある生き方の1つではないでしょうか。

 しかし、2015年は、日本の世帯数が減少に転じると推計されている年で、住宅市場の需給関係が大きく崩れ、本格的な「家余り」時代に突入することになるといわれています。人口が減少しているにも関わらず、年間80万戸前後の住宅が新築されているのですから、どうしても空室は増えていくことになります。

 アパート・マンション経営は楽ではないのです。事実、多くの既存の大家さんが空室問題に悩まされています。これから、アパート・マンション経営を始めたいという人も避けては通れない問題です。

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 『金持ち大家さんがこっそり実践している 空室対策のすごい技』は、この空室問題を解決するためのスゴ技が満載の本です。初心者の大家さんでも、すぐに実践できるテクニックが多いので、きっと役に立つはずです。

まずは基本のお掃除

 手持ちの物件が古くて魅力のないものであれば、リフォームは不可欠です。しかし、リフォームの前にこの話をしないわけにはいきません。大家さんなら、まずは自分で物件の掃除をしましょう。

 自分自身でアパートを掃除することにより、他の人には見えない汚れ、不具合に気づくことができます。たとえば、手すりのさび、壁の小さなしみ、ゴミ捨て場の散乱や道路にはみ出た自転車の放置など。

 掃除を業者に任せるということもできますが、普通に掃除をして帰るだけで、このような状況を劇的に改善してくれるわけではありません。大家さんの視点だからこそ、気づく細かい欠点があるのです。それらをなくしていくことは、物件の価値を高めるために必要不可欠なものです。

 また、そうして自分の物件と向き合うことで、次第に物件に愛着がわきます。そうすると自然とあなたのおもてなしのオーラが伝わり、入居者との会話が増えて思わぬヒントをもらった……なんていうことも、あるかもしれません。

いま人気の設備はつけてはいけない

 人気の設備がついた部屋の方が人の目にとまります。しかし、浦田氏によると、それは間違いだとか。

 なぜかというと、人気の設備を設置しても、ブームは去ってしまうものだからです。たとえば、人気設備の上位常連だったオール電化は東日本大震災による原発事故の問題による電力供給の不安から人気は落ち気味だそうです。逆に、いままであまり重視されていなかった耐震対策は、チェックポイントの1つとして、これから重要視されていくでしょう。

 一方、防犯のためのテレビインターフォンや防犯効果の高いディンプルキーなどの設備は、ブームではなく必要不可欠なマストアイテムとして重視されているので、はずさないことです。入居者にとって、契約の決め手となるものは何か、流行にとらわれずに考えましょう。

エントランスのリフォームはケチってはいけない

 物件探しの内見で、エントランスに入ると、ゴミが落ちていたり、郵便受けは使い古されていてボコボコになっていたり。そんな光景を見ると、部屋に入る前に回れ右したくなります。「エントランスがこんなのだったら、部屋も汚そうだな」と不安になるのは当然でしょう。エントランスは物件の顔ともいえる重要な部分なので軽視してはいけません。

 たとえば、浦田氏はこのようにリフォームしてはどうかと、提案しています。

・郵便受けをA4サイズの郵便物も入るダイヤルロック式に交換
・エントランスの壁と天井を新しく塗りなおし、清潔感と明るさを出す。
・床のタイルは高圧洗浄で磨き上げ、入り口には泥落としのレンタルマットを設置

 もちろん、新しく修繕するには、費用がかかります。しかし、本来の美観が損なわれている箇所の補修をケチるべきではありません。なぜなら、それが「空室問題」の初歩的な解決策だからです。

お金をかけずに、インターネットを導入

 インターネット回線は、賃貸住宅においていまや当たり前のマストアイテムです。現在では、賃貸物件に初期工事費無料でブロードバンド環境を設置してくれる業者に頼む方法があります。ただし、毎月一戸当たり1000円程度のランニングコストがかかるので、家賃に含むかどうかは大家さんの戦略次第となります。

 コストを家賃に転嫁しづらい場合は、次のような導入方法もあります。

 最近、Wi-Fi機能搭載の自動販売機が出ています。自販機を置くことで半径50メートルほどの範囲でWi-Fi対応した端末から、利用料が無料でインターネットが使えるというサービスです。Wi-Fi搭載自動販売機1台につき、Wi-Fi対応機器を数十台程度まで同時接続ができるので、10戸程度の小規模木造アパートに最適です。

 以上、アパマン「空室問題」に対するヒントを、ほんの少しご紹介しました。他にも、リフォームにどこまでお金をかけるべきか、入居者の心をつかむための募集戦略から、内見時の成約率を飛躍的にアップさせる方法など、まだまだたくさんのテクニックが本書には満載です。未来の大家さんを夢見る、あなたも今日から、こっそり実践してみませんか?

文=日本実業出版社