会議室のノックは2回と3回どっちが正解?「さすがですね」はNGワード? デキる大人の常識力診断!

ビジネス

公開日:2016/11/24


『できる大人の常識力辞典』(話題の達人倶楽部/青春出版社)

 社会人の一般常識やビジネスマナーに悩まされている人は多いはず。私もそうだ。そんな堅苦しいものこそ日本の悪しき習慣であり、ビジネスマナーを取っ払うだけで、どれほど仕事の効率が良くなり、どれほど日本の経済が好転するだろうか。私に金と権力と人望があれば、「ビジネスマナーはいらない! 人を思いやるマナーだけでいい!」と叫びながら選挙に立候補し、選挙カーの上で「ビジネスマナーを大罪にします!」と公約するところだ。しかし現実は厳しい。ビジネスマナーを失えば、取引先から見放され、あっという間に仕事を失くして路頭に迷う。そこで紹介したいのが『できる大人の常識力辞典』(話題の達人倶楽部/青春出版社)である。本書は、社会人が身につけておきたい基本常識がたっぷりつめこまれている。「礼儀作法」「敬語」「しきたり」、さらには「歴史」や「地理」についてもふれており、社会人の常識やビジネスマナーで困ったときは、本書を開けば答えが書かれているだろう。

礼儀作法

 「いつもお世話になっております」という挨拶のマナーがある。私などは盲目的に繰り返しているが、初めて会う相手にも使っていいものか悩んでいた。本書によると、なんとOKだそうだ。自分は初めて会う相手であっても、会社同士や上司とは長い付き合いであるかもしれない。たとえ本当に全くお世話になったことのない相手であっても、これからお世話になるかもしれないと考えて、心を込めて「いつもお世話になっております」と言えばいいそうだ。

 会議室のノックにマナーがあることはご存じだろうか。実は回数が決まっているのである。会議室をノックするときは3回が良いそうだ。元々、ドアをノックする習慣は日本にない。これは欧米のマナーで、欧米では4回ノックするのが基本。しかし「ちょっとしつこいのでは?」という理由から日本では3回に略していいことになった。ちなみに「2回はダメなの?」と思った方もいるだろう。しかしそれはトイレをノックするときのマナーである。

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敬語

 読者は上司に「さすがですね」と使ったことはあるだろうか。実はNGだ。「さすが」という言葉には「たいしたものだ」という意味が含まれている。つまり上司に「たいしたものだ」と言っているも同然なのだ。こりゃまずい。「さすがですね」と言いたいときは、「素晴らしいですね」「頭が下がります」「勉強になります」に言い換えるべきだ。

 休暇をもらいたいとき、気が重くてなかなか上司に言えない人は絶対にいるはず。上司に休みを告げたいときは「ご相談があるのですが、○月○日に○○がありまして、お休みさせていただ きたいのですが、よろしいでしょうか?」と言うのがベストという。相談という形をとること、「よろしいでしょうか?」と上司の顔を立てることがポイントだ。

歴史と地理

 書類を書くとき、西暦と元号の2つがややこしいと感じたことはないだろうか。特にややこしい元号だが、これはただの習慣ではなく、政令で定められているものである。元号は中国から持ち込まれた考え方だ。中国には、統治者が人民や土地だけでなく、時間も支配するという思想を持っていたため、年号の制定という発想が生まれた。清朝の滅亡と共に中国では元号が使用されなくなったが、日本では645年の「大化」より使われている。ひとりの天皇の治世を、ひとつの元号で通すようになったのは、明治元年のことからである。

 日本で最初に初日の出を見られる場所をご存じだろうか。陽は東から上る。つまり日本の最東端(島以外)である北海道の納沙布岬に行けばいいと思ってしまうが、そこより早い場所がある。関東最東端の千葉県の犬吠埼だ。なぜなら、地球の地軸が傾いている関係上、元日ごろには、 太陽は南東方向から上るため、犬吠埼の方が早いのだ。ちなみに、犬吠埼より4分早く陽が上る場所がある。富士山だ。3776mという標高はダテではない。しかし、冬は富士山には登れないので、犬吠埼へ行くのが賢明だ。

 いかがだろう。本書はこのような常識を370ページにわたって紹介している。購入価格は1000円(税抜)。1000円で誰もが苦しむ社会人の常識やビジネスマナーが手に入るなら、安いものだろう。

文=いのうえゆきひろ