梨も推すモキュメンタリーホラー! ロケ地の廃校で起きた惨事、スクリーンから侵食する恐怖。映像化進行中のホラーに続編登場【書評】
公開日:2026/6/2

「あの映画、撮影中に“出た”らしいよ」──ホラー映画好きでなくとも、そんな噂を一度くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。撮影現場で突然照明が消えた、何度録り直しても原因不明のノイズが入る、スタッフが怪我をした。真偽はわからないが、「幽霊が実際に映っている」という触れ込みのホラー映画も存在する。第三者として噂を聞くだけなら、「怖い話をすると霊が寄ってくるっていうし、そういうこともあるかもね」と悠長に構えていられるが、当事者であればそんなことも言っていられないだろう。『ある映画の異変について目撃情報を募ります2』(海藤文字/スターツ出版)は、「霊が映り込んだ映画」に予期せず関わってしまった恐怖を肌で感じられるモキュメンタリーホラー小説だ。
新人女優の有馬ゆいは、青春ホラー映画『学校霊』の主演に抜擢され、ある廃校で数日にわたりロケを行うことに。だが撮影中、共演者が突然“黒い影”に怯えてパニックになり、翌日には降板してしまう。やがて、ゆいも闇の中から手を伸ばす黒い人々を目撃し……。アクシデントに見舞われながらも映画はなんとか完成するが、ゆいは撮影が終わってもなお霊に悩まされることに。彼女は藁にもすがる思いで映画ブロガーのMOJIに助けを求めてDMを送る。
前作を読んだ人なら、ここでピンときただろう。MOJIは、前作で「観たら死ぬ」と噂される映画について調査を行った人物。同じく映画ブロガーのSUZU、民俗学者の三枝といったおなじみの面々も登場し、本作では「霊が映り込んだ映画」の真実に迫っていく。ロケ地となった廃校で、過去に何があったのか。映画を観た観客、そしてゆいの身に何が起きているのか。ブログやゆいの日記、現地の調査動画などを通して、真実が少しずつ明かされることになる。
よく「映画のパート2はイマイチ」というが、この作品に関しては当てはまらない。暗い森から撮影現場をじっと見つめる黒い人々、闇に引きずり込もうとする無数の手、何かが焦げたような腐ったような嫌な匂い。じっとりと体にまとわりつくような恐怖が前作以上の臨場感で描かれ、読みながらその薄気味悪さに何度も腕をさすってしまった。終盤には、映画館の観客を巻き込みかねない事態に陥り、タイムリミットサスペンスのようにハラハラする展開も。予想外の事態が次々発生し、ページをめくる手が止まらなくなるはずだ。
なお、前作を読んでいなくても問題なく楽しめるが、読んでおいたほうがより一層理解が深まり、考察もはかどる。前作はスターツ出版が開催した「モキュメンタリーホラー小説コンテスト」の大賞を受賞。解説文を人気ホラー作家の梨氏が担当したことも話題になった。映像化も進行しているので、公開前に先取りして今のうちに読んでおきたい。前作、本作ともに映画をめぐる異変には決着がついているが、気になる部分も残っているため、さらなる続編にも期待したいところ。ぜひ『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』のようなシリーズ化を狙ってほしい。
文=野本由起
