「今後もズッコケシリーズが色褪せる事はありません」児童文学の金字塔『ズッコケ3人組』シリーズ完結に読者・作り手の抱く想いとは

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/16

 ついに完結を迎えた『ズッコケ』シリーズに対してファンからは、「ズッコケまだ続いてたのかよ! 思わず買っちゃった」「30年ぐらい読んでなかったシリーズだけど、久しぶりに読んでみようかなと思い、手にしました」「小学時代から愛読してきた『ズッコケ』シリーズ。中年編は生き生きとした感じがなくなり、寂しかったものの出るのが楽しみだった。これでもう3人組の新しい物語が読めないと思うと寂しいなぁ」「子供の頃読んでいたズッコケ三人組が、気づいたらズッコケ中年三人組になり、ズッコケ熟年三人組になっていたっていうのも感慨深い」「全然知らなかったけどズッコケ三人組シリーズって完結してたらしい。もう1回最初から読み直してみよう」など、思わず購入したという声、感慨深いという声、もう一度読み直してみようといった声など、かつての小さな子ども達それぞれの声が聞こえてくる。

 また、読み終えた人からは「終わっちゃった。熟年といわれる年だけど、でも3人ともまだ半熟だって言いながら仲良くしてるシーンが好き。ズッコケ三人組が変わらないことにホッとする」「広島の水害の辺り読んでたらじわっと涙出そうになったよ」「読者をいやーな気分にさせてくれる、ズッコケらしい、那須正幹らしい話だったので満足」「那須先生が書かれた三人組に出会えて良かったと思っています。感謝」「ラストという事実をすんなり受け入れる事が自分はできました。今後もズッコケシリーズが色褪せる事はありません」といった感想が聞かれた。

 子どもの頃に『ズッコケ』と出会ったのは読者だけではない。『ズッコケ』と出会い、大人になり、那須と共に作り手として『ズッコケ』シリーズに関わってきた編集部の人達の声も紹介しよう。三人組がなかなか登場せず、北京原人の骨が見つかった事件について延々と書かれた異色作が『ズッコケ財宝調査隊』。夏休みに三人はモーちゃんの親戚の家に泊まりに行くのだが、そこでモーちゃんのおじさんの死や、ダムの底に沈んでしまった村などをめぐった謎解きが始まるという、深く緻密な構成で描かれている1冊。「小学生の頃の初読で、『なんだか大人の本を読んだ…!』とかなり心に刺さりました」との声。

advertisement

 謎めいていてかわいらしく、三人組が心を奪われてしまう転校生の北里真智子が登場したのが、『ズッコケマル秘大作戦』。実は親が借金取りから逃げていて、転々と転校を続けているという、表に出せないかわいそうな事情がある少女なのだが、三人それぞれに「あなたのマコより」とメッセージを送った行動に「女子に興味なさそうなハカセやモーちゃんのハートまでつかんだ、小学生とは思えない魔性っぷりに衝撃を受けました」という編集部の人も。

さらに、ハカセのお見舞いのプレゼントがすりかえられたことから三人が事件に巻き込まれる『こちらズッコケ探偵事務所』。「決定的な証拠は、ブタのぬいぐるみの中から出てくるのですが、それが…。ハカセってあんなに頭よさそうなのに、学校の成績は本当にダメなんだなということが明らかになって衝撃を受けました」との理由でおすすめする編集部員も。

 Twitterの“#あなたの大好きな児童文学教えてください”といったハッシュタグには「そらもう『ズッコケ三人組』よ!」「『ズッコケ三人組』。図書館にあったの全部読破しましたよ!」といった声が当然のように上がっている。様々な経験を経て“成長”し、その“成長”を持って終わらせる同シリーズ完結の理由を、那須は「老人になっていく三人を描きたくなかった。平和な世の中だからこそ生き生きと活躍できたキャラクターだったから」と語っている。

 ついに終結を迎えた『ズッコケ』シリーズを読み返し、幼い頃とまた違った感覚で読むのも一興だろう。「我が家の子供たちも29歳と26歳になっている。よく読み聞かせをしたもんです。声や演出をして。親の私自身も面白いと思った」といった声があるように、この児童文学シリーズの金字塔は、子から子へ、後世にも読み継がれていくことだろう。シリーズが終わっても決して作品が色褪せることはない。『ズッコケ』シリーズよ永遠に。

■『ズッコケ熟年三人組
著:那須正幹
価格:1,296円(税込)
発売日:2015年12月1日(火)
出版社:ポプラ社

雨による大規模土砂災害が起こった。ハカセの教え子たちやモーちゃんの職場の人の家が被害にあい、市会議員のハチベエも現場に駆けつける──。いよいよ熟年、50歳になった三人組。感慨深いシリーズ最終巻!