工藤ノリコの人気絵本「ノラネコぐんだん」シリーズ初の児童向け読み物が登場!『ノラネコぐんだんと海の果ての怪物』

文芸・カルチャー

2018/4/26

『ノラネコぐんだんと海の果ての怪物』(工藤ノリコ/白泉社)

 絵本の主役なのにいつも悪さばかりして、最後はしっかり怒られて反省することになるコミカルなノラネコぐんだんのお話は子どもたちの心をがっしりわしづかみ!

 工藤ノリコの絵本「ノラネコぐんだん」シリーズは累計80万部を突破する大人気シリーズだ。子どもじゃなくても、書店の絵本コーナーで見かけたノラネコぐんだんのぶさかわいい顔が印象に残っているという人は多いのでは?

 このたび、そんなシリーズ初となる児童向け読み物『ノラネコぐんだんと海の果ての怪物』(白泉社)が刊行。本書は著者の「絵本に親しんできた小さい人たちが少し大きくなって、文章の多い物語の本を読んでみたくなったときに楽しく読めるような本を作ろう」という思いから生まれた一冊とのこと。そこに描かれるのはタイトルが示す通り、海を舞台にしたノラネコぐんだんのファンタジックな大冒険だ。

 ある日、海辺で魚を獲りながら暮らしているノラネコぐんだんが砂浜で“魔法の貝がら”を拾った。魔法の力で自由に海の中を歩きまわれるようになったノラネコぐんだんは獲りたい放題に魚をどっさり獲って、毎日おなかいっぱい。

「ニャー、なんてしあわせな暮らしだろう」と喜んでいたノラネコぐんだんは、やがて調子に乗り始めて魚を粗末に扱うようになり、海の国の王様から呼び出されて裁判にかけられてしまう。

 その結果、魚たちに逆に食べられることになり、「食べないでください、お願いします! もう悪いことはやめます。どうか助けてください!」と必死のお願い。そこに王様の一人娘のお姫様が海の果ての怪物にさらわれたという急報が。ノラネコぐんだんは命を助けてもらう代わりにお姫様救出の旅に出ることになる。

 ところが、旅の途中もおなかを空かせてばかり。ノラネコぐんだんはお姫様を救うことができるのか――?

 絵本から読み物へと変わっても、食いしん坊で自分勝手にやりたい放題のノラネコぐんだんはちっとも変わらない。相変わらず心のおもむくままにしか行動できないけれど、そこがノラネコぐんだんのいいところ。それでも今回はちょっとだけ成長したところも見せているかも!?

 子どもの頃から絵本のノラネコぐんだんのヤンチャっぷりに親しんできた小さな読者は、そんな8匹の情けなくも愛らしい勇姿がきっと気に入るはず。読み応えのあるお話を求める子どもの読み聞かせにもぴったりで、もちろんノラネコぐんだんが好きな大人たちも楽しめることも間違いなしの一冊だ。

文=橋富政彦