松嶋・反町夫妻も! 近隣ペットトラブルの解決法

生活

更新日:2013/5/23

 先日、大きな話題となった反町隆史と松嶋菜々子夫妻の近隣ペットトラブル騒動。反町・松嶋夫妻が飼っていたドーベルマンに咬まれて負傷したことをきっかけに、同じマンションの住人だった有名グラフィックデザイナーの佐藤可士和夫妻が退去したことで、不動産管理会社が反町・松嶋夫妻に約5220万円の損害賠償を求めて訴訟を起こし、東京地裁が385万円の支払いを命じたのだ。近年、ペット可物件は増えているが、その分だけペットトラブルも増加しているのかもしれない。そこで今回は『Q&Aペットのトラブル110番―法律知識と法的対応策』(渋谷 寛、杉村亜紀子、佐藤光子/民事法研究会)から、ペットトラブルの解決法を考えてみよう。

 ペットの近隣トラブルでもっとも多いのが、「吠える声がうるさい」という問題。夜中や早朝に吠えられることで不眠となり、ノイローゼになってしまう人もいるという。この場合、どのように解決できるのか。

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 本書によると、ペットの鳴き声で他人に迷惑をかけた場合、民法718条や動物愛護管理法1条、7条により、飼い主は責任を問われるという。まずは話し合いでの解決を目指し、飼い主に事情を説明して「しつけを厳しくして犬が吠えないようにしてもらう」「防音窓や防音壁を設けて騒音を減少させる」「多頭飼いをしている場合には里親を探してもらう」などの処置を求めよう。庭などで犬をつないで飼っている場合は、夜だけでも家屋内に入れてもらったり、人の姿に反応して吠える犬ならば、犬小屋の向きや場所を変えてもらうことでも改善されることもあるという。

 が、飼い主がこうした話し合いに応じない場合は、司法手段を用いることになる。実際、犬の鳴き声がうるさいとして損害賠償を求めた事案では、飼い主に賠償命令が下った判例も。本裁判を行う前に、犬が鳴くことを止めさせるように仮処分を求めるという方法もある。さらに、近隣住人を“ノイローゼにさせようとあえて犬に吠えさせ続けた”ときは、刑法上の傷害罪が成立することも考えられるそうだ。

 また、判断が難しいのは、「庭で飼っている犬が、門から手を入れてきた子どもを咬んでしまった」というようなケース。「相当の注意義務を尽くしていた場合」は、飼い主は責任を追わないことになるが、これが認められることはほとんどない。“犬をきちんとつないでいたかどうか”“つないでいたとしてもリードの長さやつないでいた位置はどうか”“犬を飼っていることを知らせる表札をつけていたか”“人が容易に犬に触れることができたどうか”など、さまざまな要素から判断されるが、飼い主には厳しい注意義務が課せられ、当然のことながら被害者の損害を賠償することになる。

 ただし、被害者(子ども)を監督する者がいた場合や、犬が嫌がる行為を子どもがした場合は、子ども側の責任として賠償額が減額される「過失相殺」が認められることも。たとえば、子どもが必要もなく犬をかまいにいき、犬の片足を掴み、さらにもう一方を掴もうとして犬に咬まれたケースでは、被害者側に6割の過失を認めた判例があるそうだ。

 一方、ペット禁止物件と知りながら黙ってペットを飼っている人も多いもの。いつ近隣から苦情がきたり、大家さんにバレないかとヒヤヒヤしている人も少なくないだろう。もちろん、契約時の特約にペット飼育禁止という項目があったなら、この場合は特約違反になるため、出て行かなくてはいけないこともあり得る。しかも、たとえば飼い猫が近隣を徘徊し、それを理由に住人が退居した場合などは、大家から家賃相当分の障害の賠償を求められることも考えられる。ここは素直にペット可物件に引っ越すことが望ましいだろう。

 ペットは飼い主を癒やす大切な存在。彼らを悪者にしないためにも、飼い主は十分に気を配ることが大切だ。