性格リフォームの匠・心屋仁之助氏の「非常識」で人間関係がラクになる鉄則

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

少し気になる相手にメールを書こうとすると、手が止まる。「このメール重い? 好意丸出し?」と散々悩んで、薄めて送信。いたって普通のレスが来る。嬉しいから返事を書きたい。でも「即レスしたらあからさま?」とまた悩む。そんな日々の繰り返し。結局「好きだと感じた人には最初からメールしない」と決めた! なんて話をしたら「面倒クセー! もっと気軽に考えなよ」と笑われた。

それができりゃ、悩まないんです! ああ、どこかに、このひねくれた性格を劇的にリフォームしてくれる「匠」はいませんか? と思っていると、なんということでしょう。仕事先で「コレ読んで」と渡されたのが『人間関係や仕事、恋にも有効! マンガで学ぶ 心屋仁之助の「非常識」でコミュニケーションはラクになる』(心屋仁之助:著、横山裕二:マンガ/KADOKAWA メディアファクトリー)。

advertisement

「性格リフォームの匠」としてテレビでもおなじみ、性格改善心理カウンセラー・心屋仁之助氏初めてのコミックエッセイだった。

しかし「非常識」がコミュニケーションをラクにするとは、どういうことなのだろうか?

本書は、“心屋氏とどうしても話をしてみたかった”担当・M井氏が、コミュニケーションの苦手そうに見えたマンガ家・横山氏を巻き込み、心屋氏に会いに行くことから始まる。

「コミュニケーションのノウハウ」を学べば、人間関係も仕事も恋愛も円滑になるはずだ、と門を叩いた2人に、心屋氏は首を傾げた。「“技術”を磨くことが、コミュニケーション能力を高めることにはつながってない」と。

サラリーマン時代、人付き合いが苦手だったという心屋氏は、特に目上の人に「受け入れられてない」と感じていたという。

だが、ある日、ふと思った─失敗もあったが、受け入れてくれている人もいる。そもそも「僕を受け入れてませんよね!」と、相手に確認したことはない、と。なら、逆に「受け入れられてる」と思い込んでしまえ。

話したいことを話し、話がなければ話さない。防御と工夫をやめ、ありのまま人と接すると、相手と普通にコミュニケーションが取れるようになった。

技術を磨くのではなく、「必要以上に怯えている“心”を変える」…つまり、自分で決めた「常識」をひっくり返して「非常識」に変えれば良いのだと、心屋氏は開眼したのだ。非常識を足場にする心屋氏は、2人が持ち込む悩みに、次々と常識人の足をすくう、それでいて心に響く言葉を投げかける。

自分に自信がなく、アシスタントとの距離感に悩む横山氏には─「なんでも、うまくやろううまくやろうとしてませんか?」と図星を突き、「自分はつまらない人間だと、諦めたほうがいい」とまで言い切る。

すごいと思われたいから人は虚勢を張る。だが…「うまくやろうとしてるアナタはつまらないんです」

自分をつまらない人間だと認め、ありのままで相手に接したほうが、自然だしラクだ。恋愛指南書は有効なんですか…と欲張る横山氏には─「恋愛指南本に書いてあることは上手くいってる人の理論」であり、それを真似ると自信はつくかもしれないが「大切なのは、うまくいかなかったとき」だと答える。

うまくいくことだけを夢見ていると、失敗したときに傷つく。自分の思いをさらけ出したら、どう結果を出すかは相手次第。

「“うまくいかなくても、自分は大丈夫”なんだって信じることを“自信”というんです」
「絶対うまくいくっていう壊れやすい自信より、うまくいかなくても自分は価値があるんだと忘れないこと」

たとえフラれたとしても、“フラれる人間ではない”と、心屋氏は言うのだ。どうです? あなたの常識もひっくり返りそうじゃありませんか?

ここで紹介したエピソードはほんの序章に過ぎない。「人を上手く褒められない」「上司・部下とうまくコミュニケーションできない」「頑張ってるのに認められない」など、色々な「悩み」への対処方法が紹介されており、楽しく読んでいるうちに心が軽くなっていく。

小細工はいらない。あとは勇気だけだと、心屋氏は言う。常識を非常識に変えるのも、コミュニケーション能力を高めるのも、すべては気持ちの持ちようなのだ。
そう、ココロや。

文=水陶マコト

■『人間関係や仕事、恋にも有効! マンガで学ぶ 心屋仁之助の「非常識」でコミュニケーションはラクになる』(心屋仁之助:著、横山裕二:マンガ/KADOKAWA メディアファクトリー)