焼肉×メロンパンの衝撃的な美味しさ! 少しの工夫でパンライフがもっと楽しくなるレシピを作ってみた

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公開日:2024/4/26

行列のたえないパン店ビーバーブレッドの新提案
行列のたえないパン店ビーバーブレッドの新提案 パパパ パン定食 和洋中いつもの料理がパンに合う! 』(主婦の友社)

 和食や中華にあわせるなら白いご飯? 朝のパンは食パンのトースト一択? そんな定番もいいけれど、日常の食事でもっと種類豊富なパンをチョイスできたなら…。

 ブーランジェ・割田健一さんによるレシピ本『行列のたえないパン店ビーバーブレッドの新提案 パパパ パン定食 和洋中いつもの料理がパンに合う! 』(主婦の友社)では、パンのある食卓をもっと楽しむためのレシピを紹介。割田さんは、東京の東日本橋に1号店のある人気のパン屋さん「ビーバーブレッド」の店主でもあります。

 作ったのは「焼き魚パン定食 with 雑穀パン」と「塩だれ焼き肉 with メロンパン」の2種類。レシピを見て驚き、食べてみてもう一度驚いた調理のレポートをお届けします。

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よくある和食のおかずを「味変」してパン定食に

パン定食p14-15

 1品目は「焼き魚パン定食 with 雑穀パン」。“焼き魚定食”といえば、ご飯、おかず、味噌汁の組み合わせが定番ですが、割田さんがご飯の代わりにあわせたのは「雑穀パン」。もともとフレンチレストランで料理にあわせたパンを考案していたという割田さんは「料理+パン」の豊富なアイデアの持ち主なのです。

パン定食

 本書で注目したいのは、「料理+パン」の意外な組み合わせや、料理をパンにあわせるための材料選び。たとえば、このレシピでは、焼き魚に「タルタルソース」をあわせ、味噌汁のだしには「野菜ブイヨン」を使います。

パン定食

 いざ、実食! 驚いたのは、タルタルソースの実力でした。レモン皮のすりおろしとパセリが入っているから爽やかな味。鮭につけると、目の前に高級レストランの風景が広がるような、おしゃれな味わいに。たぶん、「鮭には塩か醤油」の常識が取っ払われ、口のなかにフレッシュな驚きを運んでくれたのだと思います。さらに、焼き魚の香ばしい味わいと雑穀パンの素朴な味が、凹凸がぴったりはまるようにマッチ。

 雑穀パンと味噌汁の組み合わせが、また絶妙なんです。すこし硬めの雑穀パンは、噛めば噛むほど旨みが広がり、そこへ、野菜ブイヨンと赤味噌で芳醇な香りに仕上がった味噌汁を流し込むと、さらにパンの甘さが加わります。この食べ合わせはクセになる…。ちょっとした“味変”による、パンと和食のしあわせな出会い。まさしく新感覚でした。

あまいパンだって組み合わせ次第で「主食」になる

パン定食p22

 次に「塩だれ焼き肉 with メロンパン」をつくります。本書で割田さんと対談しているフードコーディネーターのみなくちなほこさんが、この組み合わせに衝撃を受けたとか。ということは、きっととんでもなくおいしいはず。普通じゃ考えつかないような組み合わせですが、割田さんにとっては「メロンパン=肉」「焼肉屋さんでパンを食べるならメロンパン」だそう。その味は、はたして…?

パン定食

 レシピで意外だったのは、塩だれにレモンスライスを入れることです。このレモンが隠し味となり、同じくレモンが入っているというビーバーブレッドのメロンパンとよくあうのだとか。本書にたびたび出てくる「パンと料理の組み合わせで共通の材料や調味料を使う」というワザです。

パン定食

 食べてみて思ったのですが、本書に載っているレシピは、まず、料理がおいしい。長ネギやレモンが入った塩だれも、それ自体が間違いないおいしさ。ちょっと話が逸れますが、冷蔵庫のなかに余りがちだったレモンの活用法が、本書でいろいろ見つかりました。レモンをはじめ、おしゃれな味に仕上がる材料がいろいろ出てくるのも本書の魅力だと思います。

 メロンパンと塩だれ焼肉の組み合わせにも、きっと驚きますよ。わかりやすく言えば、レモン汁につけて食べる“タン塩”に甘さを足したような味わい。塩だれ焼肉を食べたあとにメロンパンを口に入れると、パンの甘さのなかにレモンがふんわりと香り、甘さ、酸味、しょっぱさが複雑に絡みあいます。これは…塩だれ焼肉のために生まれたメロンパンですか!?

 これが他のパンだと、塩だれの味とケンカするかもしれませんが、この組み合わせでは、料理とパンがお互いのおいしさを引き出しあう。マリアージュとは、こういうことを言うのでしょうね。

パン定食

 その他、いろいろな種類のパンを使ったサンドイッチや、お酒のつまみパンなど、おいしい組み合わせのレシピが満載。朝食のパンにあわせるのはベーコンエッグだけではないし、サンドイッチに使うパンは食パン一択ではない…! 組み合わせ次第で、パンのある食卓の可能性は無限に広がることが伝わってきました。パンにあわせて料理をつくるのは、新鮮で楽しかったです。

「ビーバーブレッド」のパンが手に入らなくても、本書には割田さん考案のおいしいパンのつくり方が載っていますし、パンをつくれない時はおうちにあるパンを組み合わせても。組み合わせのコツに沿ってパンを選べば、あらゆるパンのおいしさを抜群に引き出してくれそうです。

 この本のタイトルは、ミーティングで割田さんが言葉に詰まって口走ってしまった「パ、パパ、パン定食…」という言葉から生まれたとか。パンへの愛情とユーモアあふれる“パン定食”の組み合わせを、ぜひ楽しんでみて。

文=吉田あき

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