「荒川先輩遂に復活!」「待ってました!」『銀の匙』連載再開にファン大喜び!

マンガ

更新日:2016/1/13


 累計1,500万部を突破する、酪農青春グラフィティ漫画『銀の匙(さじ)』。『週刊少年サンデー』2015年25号を最後に連載が止まっていた同作が、2016年1月27日(水)発売の同誌9号より連載開始した。これを受け、銀匙ファンが「待ってました!」と喜んでいるのは言うまでもなく、すでに「このまま完走か!?」と睨むファンまで見られる。

 著者の荒川弘(あらかわ・ひろむ)は幼い頃から絵を描くのが好きで、「漫画で食ってく人生になるんだろうな」と自信を持っていたという。実家の酪農を手伝いながら、4コマ漫画やイラストなどの仕事も手掛けていた荒川は、25歳(1999年)のときに『STRAY DOG』で「第9回 エニックス21世紀マンガ大賞」を受賞。晴れてマンガ家デビューを果たした。

 初連載作は、2001年に『月刊少年ガンガン』で開始された『鋼の錬金術師』。錬金術における最大の禁忌を犯したことで、体の一部を奪われたエドワード・エルリック、全身を奪われ魂を鎧に定着させた弟のアルフォンス・エルリック、この兄弟を中心に進められる物語は当然のように切ないのだが、ギャグ要素も取り入れ、全体が暗くなりすぎないことに成功している。連載前に荒川が気をつけた「少年誌でやっていい表現、やってはいけない表現の区別。自分の中でやっていい表現、やってはいけない表現」を見事に反映できたからこそだろう。結果、およそ9年間で発行された、単行本全27巻の累計発行部数は6,400万部を越える。なお、スクウェア・エニックス発行のマンガで1番の売り上げを誇る。

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 「第15回 手塚治虫文化賞」新生賞をはじめ、多くの賞に輝いた『鋼の錬金術師』の次に荒川が選んだ題材は、打って変わって「日本の酪農」、タイトルは『銀の匙』。場所も『月刊少年ガンガン』から、『週刊少年サンデー』に移し、2011年に開始された『銀の匙』の舞台は、北海道にある大蝦夷農業高校という農業高校だ。

 成績優秀にも関わらず受験に失敗し、競争や父の重圧から逃れるべく、恩師に勧められるまま農業高校に入学した八軒勇吾。『銀の匙』では、その八軒が乗馬、石釜でのピザ作り、動物の世話、食肉の飼育や、飼育した豚の出荷など、さまざまな酪農経験や、触れたことのない人間の温かみにより、徐々に成長していく様子が描かれる。

 『鋼の錬金術師』に比べると明らかにギャグ要素が強いが、北海道の酪農家生まれ、農業高校卒業の荒川ならではのリアルな描写が、読者の胸をぐさりとえぐる。また、北海道の自然の壮大さや厳しさの伝え方すばらしい。

 そんな『銀の匙』は、『週刊少年サンデー』2014年36・37合併号から、荒川が家族の療養をサポートするため不定期連載に。ただ、不定期連載と言ってもその後掲載されたのは2015年21号~24号のみで、事実上の休載状態だった。しかし、11月25日(水)に発売された52号で連載再開を発表。年明け9号から、およそ8カ月ぶりにスタートされる。

 この発表にファンは「ひゃっほ~! お待ちしてました!」「再開きたー! まだ期間はあるけど楽しみ!」「荒川先輩、遂に復活だ」「カレンダーに書かなきゃ」「サンデー発売日をスケジュールに登録します」「待ってました。子供ができたら読ませたい漫画No.1の作品」など歓喜。ただ、家族の療養を理由に休んでいただけに「療養されていたご家族は快復されたのかな。再開嬉しいです」「ご家族のほうはもう大丈夫なのかな。家族って大事。無理はされませんように」「無理なさらないでいただきたいと思います。『忙しければガチで寝なければいい』と仰る先生ですから」と、心配するファンも多い。

 また、物語が佳境を迎えているようにも感じられるからか、「待ってましたよ。卒業と進学で最後まで期待してます」「すでに主人公たちは高校3年生の半ばあたり(だったはず)。残り数回で最終回じゃないのか?」「再開は嬉しいけど、もうすぐ終わってしまうのかと思うと複雑」という声も。

 『鋼の錬金術師』連載時には、出産時期も休載せずに続けたという、仕事の鬼・荒川。家族のことは心配でならないが、『銀の匙』再開の暁には、是非とも最後まで一気に突っ走ってほしい。隔週でも、月1でもいいので…。

 「あんま無理すんな。やばかったら遠慮無く周りを頼れよ」駒場一郎(いっちゃん)


■『銀の匙』13巻
著:荒川弘
価格:463円(税込)
発売日:2015年6月18日(木)
出版社:小学館