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【ディズニー】ポップコーンをこぼしたゲストにスタッフが“神対応”! 人気リゾートに学ぶホスピタリティ

 ディズニーリゾートを支えるアルバイトの数は、1万8000人(毎年9000人を採用)。その多さにも驚きを覚えるが、さらに仰天するのは、全スタッフの約9割がアルバイトということだ。

 ディズニーリゾートのサービスは誰もが知るところだろう。気持ちの良いあいさつに清潔な施設、それだけではなく、ゲスト一人ひとりを見据えた接客をしてくれる。子どもには子ども目線で、困った人には的確な対応を。それらが巨大なリゾート内の隅々にまで行き届いている。なぜディズニーは最高のサービスをアルバイトまでもが提供できるのか?

 『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方(中経の文庫)』(KADOKAWA)を読めば、その一端が垣間見えるかもしれない。本書の著者、福島文二郎氏はオリエンタルランドの元社員で、人材育成に長年携わってきた。この本では、普通のアルバイトを一流のスタッフへと育成するメソッドが紹介されている。ディズニーリゾートの奥義に触れることができ、すでにシリーズ(単行本、[図解]版、[オーディオブックCD]版)で100万部を突破。この度、持ち歩きやすい文庫版が登場した。

 多くの人がこのシリーズを支持するのは、人材教育の基本中の基本がよくまとめられているからだ。ディズニーリゾートはサービス業だが、接客の仕方が書いてあるわけではない。記されているのは、自分の仕事をまっとうしつつ、企業に貢献する人材の育成法だ。
 接客業だけではなく、ありとあらゆる現場で活かせる内容となっている。

“神対応”できる人材はどう育てる?

 自発的に生き生きと働くスタッフを育てるにはどうすればいいのか? それはやはり「教える側」次第だ。スーパーマンのような人材はあなたのもとには入ってこない。ならば自分が変わるしかない。あなたが部下の見本となり、慕われるような人物になるのだ。

 具体的には、部下によく目を配り、頻繁に声を掛ける。そしてやるべきミッションをきちんと伝える。当たり前だが手間ひまかけずに、良い人材は育たない。

 リーダーとは何か? 後輩とより良い関係を築くにはどうしたらよいか。そして人を成長させる指導の仕方とは何か。本書の前半では、あなた自身がすぐにでも実践できるテクニックが紹介されている。

 だが本書を手に取る人がもっとも知りたいことは、次のことではないだろうか。「ホスピタリティ」を提供できる人材の育て方だ

 ホスピタリティとは、ひと言でいうならば、「主体性を持った思いやり」。ただ笑顔を振りまくだけなら、マニュアルに従っているだけだ。義務的な行動ではなく、相手の気持ちになって、共に考えてあげる気持ち。いわゆる「神対応」ができる人材だ。

 ディズニーリゾートでの感動エピソードには枚挙にいとまがない。

・ポップコーンを道にこぼしたところ、「気にしないで。チップとデールが食べにくるでしょう。あいつらきっと喜びますよ」と声を掛けられた

・レストランに入店した子どもが持っていた大きなぬいぐるみに対し、「ミッキーさんはこちらへどうぞ」と席を案内した

・バースデーシールをリクエストすると、「みんなで○○ちゃんの誕生日を祝いましょう」と声掛けし、その場にいたスタッフとゲストみんなでハッピーバースデーの歌を歌ってくれた

ディズニーの教えはあなたの職場でも実践できる

 これらの対応ができるのは、スタッフが特別な人間だからではない。スタッフそれぞれが、ミッションや行動指針を理解し、そして自律的に動いているからだ。

 彼らのミッションとは「すべてのゲストにハピネスを提供する」。行動指針とは、「安全性・礼儀正しさ・ショー・効率」。エピソードにある、ディズニーという世界観を守っているのは、行動指針にある「ショー」の部分に実に行動しているからだ。

 あなたの会社にもミッションや行動指針はあるはずだ。だがなぜそれが実践されないのか。それはやはり指導する側に原因がある。本書には次のように書いてある。

自分が扱われたように、後輩は人を扱う

 自分が先輩からゲストのような心地よい扱いを受けたなら、後輩もそれをゲストに実践できるだろう。だが、バックヤードでニコリともしない人が、ゲストの前で同じように振る舞えるか。同様に自分が困っているとき先輩に助けてもらえたなら、ゲストの窮地に力になることができるだろう。

 人はそんなに器用ではない。ゲストの前でのみ急にホスピタリティを発揮できるわけではない。日頃から気遣いを発揮する環境が必要なのだ。

 だがすべての職場がディズニーリゾートのような、ご機嫌な職場ではないはずだ。組織の風土を変えるのは難しいことだ。そんな職場の人にもこの本はヒントを与えてくれる。あなた一人でも実践できる手段が多く紹介されている。

 そのもっとも基本は、「笑顔・アイコンタクト・あいさつ」。ディズニーでは、この3つのルールは「ホスピタリティ・マインドと自主的行動を育てる」ルールとして徹底している。もっとも簡単に後輩や職場の人にホスピタリティ・マインドを提供できる方法だろう。特別なことでも難しいことでもないのだ。

 このほかにも、不人気だった「カストーディアル」と呼ばれる清掃業務を担当する職種が人気の業務になった理由。主体性・自律性を持たせる方法などがまとめられている。

 あなたの職場に良い人材がいないと嘆いているならば、まずこの本を手にとってほしい。後輩だけではなく、あなた自身も成長できるヒントが詰まっているだろう。

文=武藤徉子

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