野菜の約95%が外来種だった! あの”そらみみ植物園”の第2弾!植物についての身近な疑問をスッキリ解決!

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公開日:2016/8/18


『はつみみ植物園』(東京書籍)

 ニンジン、白菜、ナス、ゴボウ、ジャガイモ。我が家の食卓に上るこれらの野菜は、元はすべて外国からやってきたものだ。実は、日本に出回っている野菜の約95%は外来種だという。日本原産なのは、フキ、三つ葉、ウド、ワサビ、明日葉、セリなど、山菜か、それに近いものばかりなのだ。

 こんな、植物のトリビアを教えてくれるのが、『はつみみ植物園』(東京書籍)だ。著者は、西畠清順(にしはたせいじゅん)氏。本業は、世界中から植物を探し、運び、届ける仕事、いわゆるプラントハンターであり、緑の空間プロデューサーでもある。

植物が好きっていう気持ちは、年齢も、国境も、宗教ですら超えて、わかりあえるもの
 この小見出しの言葉は、NHKスペシャル「地球を活け 花する」の番組で、著者が話したもの。著者は、とにかく、植物が好きらしい。

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 著者は、植物を育てたことがない人から、「どうやったら、植物をうまく育てられますか?」とか、「家で植物を育てたいが、どんな植物がよいですか?」とよく聞かれるという。

 そういうとき、答える言葉は、決まっているそうだ。

初めはどんな植物がよいか、を選ぶより、まず自分が好きだなぁと思える花屋さんや観葉植物屋さん、植木業者さんを選ぶことがよいかもしれません。そして、そこで働く、植物にくわしい定員さんを見つけることです

 まずは、なんでも気軽に相談できる相手を探せ、が答え。この答えは、他のことにも通用しそうだが、同じく植物好きの筆者が、おこがましくも答えるとしたら、「植物をよく観察しなさい」かもしれない。だから、見飽きない植物がいいのではないかと思う。

植物を人の生活空間に持ち込むことは、人間のエゴなのか
 オーガニックシティと呼ばれる、東京の山手線・大崎駅前に広がる「パークシティ大崎」をご存じの人も多いはず。ここの植栽計画をプロデュースしたのも、西畠氏だ。平和のシンボル・オリーブの木は、実のなる木としては、世界一、長生きだそうで、街のシンボルとして、街の中心入り口に、樹齢500年のオリーブを植樹したそうだ。

 また、街路樹には7種類の樹木を使い、曲がった木や巨木など個性的な木を街のいたるところに配置している。まさに、植物の力を借りて、人の快適空間を造り出しているといえるだろう。しかし、外来の植物を安易に日本に持ち込むべきではないとする考えもあるらしい。

 だが、外来種でも、私たち日本人と共生できることは、多くの野菜が証明している。私たちが住む空間は、原生林ではない。

 見開きの各右ページには、植物のイラストや写真が載せられていて見ているだけでも楽しい。植物も眠るの? 植物はなぜ長生きできるのか? など、植物に関する話題が満載な本書は、きっと生活に潤いを与えてくれるに違いない。

文=今眞人