池上彰がアメリカ人だったら…米国で超注目!イケメン未来学者が、“あなたが暮らす未来”を大予測!

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更新日:2016/9/9


 アメリカでいま注目の若手未来学者、アレック・ロス氏をご存知だろうか? イケメンの呼び声高い端正なルックスもさることながら、大統領候補のヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に外交・イノベーション担当上級顧問に抜擢され、オバマ大統領の選挙戦でも活躍した経歴を持つ筋金入りのエリート。その幅広い知識をわかりやすい語り口で私たちに説明してくれるところが、まさにアメリカ版池上彰だと話題だ。

 そんなロス氏の著書『未来化する社会』(アレック・ロス:著、依田光江:訳/ ハーパーコリンズ・ジャパン)が、米国大手ネット書店で売上1位となるなど、全米で絶賛され話題を呼んでいる。

 タイトルにもあるように、私たちの暮らす未来について書かれた本書。ロス氏が執筆に至った経緯には、このような思いがあった。

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私がまだ学生で、インターネット革命の夜明けだったころ、私は将来についてはなんの予感ももち合わせていなかった。あのころ、次にどうなるのかを予測した本を読んでいたらよかったのにと思う。

 ロス氏は、その後の輝かしいキャリアを通して、世界中で様々な変化を目撃し、将来がどうなっていくのかを察知できる立場に就くことができた。その経験や知識から導き出した未来の世界を解説しているのが本書であり、「イノベーションとグローバル化の次の波が、国と社会とわれわれ自身にどう影響するのか」を知りたい方に向けて書かれている。

 「イノベーション」「グローバル化」など、よく耳にはするが、なんだか難しそう…と敬遠してしまう方もいるだろう。が、心配は無用。本書では、この先知っておくべきトピックに限定し、それぞれ具体的な例を挙げ、専門的な内容も噛み砕いて分かりやすく説明してくれている。つまり、ビジネスパーソンから就職活動中の学生まで、未来がどう変わるのかを知りたい方であれば、誰にでも役立つ内容なのだ。

 本書で注目するのは、ロボットやゲノム(遺伝子工学)、ビットコイン(暗号通貨)など6つの産業がもたらす大変革(パラダイムシフト)。例えば、アメリカでは職の47%がロボットに奪われるリスクが高く、19%にも中程度のリスクがある。ホワイトカラーであっても、弁護士助手のように自動化が容易にできそうな職は安心できないと指摘する。その一方で、アフリカでは携帯電話を持つ人が2002年の3%から2016年現在は80%以上と、目覚ましい成長を遂げている。結果、世界中の特に20代や30代の若い投資家の注目を集めるようになったなど、変化によってもたらされる恩恵とリスクを具体的に紹介。トピックの豊富さと説得力は、世界80万キロを行脚した著者ならではだ。

 最近話題にのぼるAI(人工知能)、フィンテック、シェアリングエコノミーなど、筆者もなんとなく知っているようなキーワードが数多く登場するが、ロス氏の知見の深さは想像をはるかに超えるものだった。難しい内容のはずなのだが、キーパーソンの発言を織り交ぜながら、専門家としての考察を丁寧に述べており、すんなりと頭に入ってくる。将来の変化の波に備えて、多くの方に読んでいただきたい一冊だ。

文=松澤友子
Photograph © Stephen Voss.