健康・美容

眼球体操で網膜剥離…コンタクトレンズショップの眼科診療はバイトの研修医!? 日本一の眼科医が業界タブーを告発!


『やってはいけない目の治療』(KADOKAWA)

 五感のなかでも、さまざまな面で重要な役割を果たしている“目”。その恩恵に多くの人があやかっている一方で、目の健康を気遣って生活をしている、と胸を張っていえる人はどれだけいるだろうか。なかには、目の疲れを癒やそうと、眼球体操をしたり目をマッサージしたりしている、そう答える人もいるだろう。しかし、そのお手軽治療法が重大な眼の疾患を招くとしたら……?

 白内障や緑内障、網膜剥離など年間で1万件の眼の手術をおこなう、現役の“スーパードクター”の眼科外科医師・深作秀春氏は、著書の『やってはいけない目の治療』(KADOKAWA)のなかで、日本の眼科治療が大いに勘違いされている現状を嘆く。

「激しく眼を動かし、老化を防ぐという“眼球体操”は、何年か前にある精神科医がテレビで提唱したものです。これを真に受けてかなり多くの中年女性が、老化を防ごうと、この運動を実行しました。結果はどうなったかと言うと、眼を激しく動かしたために、眼の中の硝子体線維が強く揺れ、その線維の端に付着した網膜が引っ張られて破け、網膜剥離になる方がたくさん出たのです」

 網膜剥離といえば、失明にもつながる重度の疾患。眼科医以外の医師が推奨した体操が、おそろしい事態を招いてしまった顕著な例だ。同書には、現在の日本で横行している間違った治療法が各トピックスに分けられて紹介されている。

●コンタクトレンズクリニックでついでに眼科検診も受けている→×

 コンタクトレンズは医師が正しく処方しなくてはならない高度医療機器。現在の日本では診療所を併設したコンタクトレンズショップでの販売が主流となっている。そのため、“診療所”だから、と考え、眼科検診を受けている人もいるかもしれないが、著者いわくコンタクトレンズショップ併設の診療所の医師は“未熟な技量”である可能性が極めて高いという。

「もともとコンタクトレンズを販売するためにできた診療所なので、眼科の検査が十分にできるだけの機械はそろっていません。また、眼科の研修医がアルバイトで診療所に勤務したり、眼科医かどうかすら怪しい医師もコンタクトショップ直系の診療所にはいます」

 設備不足や医師の技量の未熟さによって、緑内障の発見が遅れてしまうこともある、と深作氏。コンタクトレンズの購入時に併設の眼科で検査をしたからといって、安心してはならないのだ。

●レーシック手術はどこでも簡単にできる→×

 エキシマレーザーを使って角膜を削り、近視を治療できることで一時期話題となった「レーシック手術」。しかし、現在ではレーシック手術を受けた人々が、さまざまな合併症を発症する“レーシック難民”に陥っているという情報が流れ、今やレーシック=危険なものというイメージが定着しつつある。一方で、レーシック手術の開発から関わっている深作氏は「本当にそんなに危険な手術なのでしょうか?」と、疑問を投げかける。

 1994年に日本初のレーシック手術をおこなった深作氏は、患者さんに合併症の危険性などの“悪い話”を包み隠さず話し、お互いの信頼関係を築いたうえで施術をした。

「思えば、当時は、レーシックが限られた本当の眼科外科医によって施術された、幸せな時期だったのです」

 そう彼が語る理由は、“レーシックは近視が治る夢のような手術”という間違った認識をメディアが広げてしまい、美容外科系の施設が豊富な資金で宣伝をはじめ、患者を誘導してレーシック手術を開始したことが、現在の状況につながっていると、深作氏。

「美容外科系の施設で手術を失敗し、網膜剥離などの合併症を引き起こされた患者さんが、今でも助けを求めて当院に来ます。(中略)私は手術を決定するときに、すべての患者さんが自分の家族と仮定して判断します。自分の兄弟なら、自分の子供なら、極端な話、自分自身ならどんな方法をとってほしいかです。本当にそこまで考えられる眼科外科医なら無茶はしないでしょう。私たちがドイツで開発したこのレーシック手術が、本当の意味で正しい使い方をされるのを願っています」

 開発チームにいた著者にとって、レーシック手術は子供そのもの。その技術が、間違った方向に向かっている現状に肩を落とすのも無理はない。

 このように、眼科医の権威という視点から深く切り込んだ内容のものから、濃紺と黒の区別がつかないという兆候から考えられる目の病気など、さまざまな“目のはなし”が紹介されている。まさに、目からウロコが落ちる、必読の一冊だ。

文=谷口京子(清談社)

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