出版社が今後最も力を入れたいのは「アマゾンKindle」

ビジネス

更新日:2014/3/6

 7月には楽天の電子書籍リーダー「kobo」が発売、アマゾンの「kindle」もいよいよ発売間近と言われ、大きく動きだした電子書籍市場。そんな中、株式会社インプレスR&D インターネットメディア総合研究所が6~7月にかけて出版社へのアンケート調査を実施。データの中からいくつかピックアップし、電子書籍ビジネスの実態を読み解いてみたいと思う。

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■今後もっとも力を入れていきたい電子書籍の販売チャネルは「アマゾンKindle」

1位 Amazon Kindle  60%(13%)
2位 楽天kobo     57%(4%)
3位 honto       42%(66%)
4位 App Store    38%(64%)
4位 紀伊國屋BookWebPlus  38%(53%)
6位 iBook store   30%(0%)
7位 BookLive!    28%(49%)
7位 Google Play(旧Android Market)  28%(17%)
9位 eBookJapan   21%(32%)
9位 Google ebookstore  21%(2%)
注)カッコ内はすでに取り組んでいる割合

発売間近といわれているがいまだ発売日が正式発表されていないアマゾンのKindleが1位。また、7月19日にサービスを開始した楽天のkoboが2位と高順位だが、アンケート調査時期はサービス開始前だったこともあり、現時点での期待値は微妙なところだろう。とはいえ、国際展開でも注目を集めている新規参入2陣営が他チャンネルより抜きん出ており、出版社が大きな期待を寄せていることがわかる。また、既存のチャネルの中でも、リアル書店との連携を打ち出しているhontoや紀伊國屋BookWebPlusも期待が高い。一方で、PCサイトやケータイサイトに対する意向はほとんどなかった。

 

■今年もっとも多く電子書籍化した書籍のジャンルは「趣味・実用・ガイド」

1位 趣味・実用・ガイド  47%(51%)
2位 ビジネス  42%(37%)
3位 その他  38%(27%)
4位 コミック  34%(31%)
5位 文芸小説 28%(24%)
6位 エッセイ・論評  26%(29%)
7位 ノンフィクション  21%(29%)
8位 写真集 17%(20%)
9位 語学・資格・検定・教育  15%(20%)
10位 ライトノベル  13%(12%)
10位 アダルト・官能小説  13%(24%)
10位 趣味専門雑誌  13%(12%)
注)カッコ内は2011年のデータ

昨年と比較すると大まかな傾向に変化はないようだが、その中でもビジネス(+5%)、文芸小説(+4%)などが伸びている。一方、大きく比率が下がったのはアダルト・官能小説(▲11%)、ノンフィクション(▲8%)、男性コミック誌(▲6%)などだが、アダルト・官能小説については初期の頃からいち早く電子化されていたこともあり、電子化作業が落ち着いたか、ビジネス、文芸小説といった一般書へシフトしたということだろう。なお、雑誌ジャンルは全体的に電子化された割合が低くなっている。

 

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