第3回山田風太郎賞に冲方丁さんと窪美澄さん

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26


 第3回山田風太郎賞(角川文化振興財団主催)が、冲方丁(うぶかた・とう)さんの『光圀伝』(角川書店)と窪美澄(くぼ・みすみ)さんの『晴天の迷いクジラ』(新潮社)に決まった。

advertisement

 同賞は『甲賀忍法帖』『魔界転生』など戦後日本を代表する大衆小説家、故山田風太郎氏の独創的な作品群と作家的姿勢への敬意を礎に有望な作家の作品を発掘顕彰するため創設された賞。毎年9月1日から1年間の間で最も面白いと思われる作品に贈られる。

 同賞の第1回は『悪の教典』(貴志祐介 文藝春秋)、第2回は『ジェノサイド』(高野和明 角川書店)が受賞しており、いずれもベストセラーとなっている。

 冲方丁さんは、ライトノベルから時代小説まで幅広い作風の作家で、初の時代小説となる『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞などを受賞した。今回の受賞作『光圀伝』では水戸黄門こと水戸光圀の波乱の生涯を濃密に描いている。
 窪美澄さんは、広告制作会社勤務後、編集ライターを経て、作家になった経歴の持ち主で、デビュー作『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞などを受賞している。今回の受賞作『晴天の迷いクジラ』では人生に絶望しかけている主人公3人の葛藤と決断を描く。

 二人のさらなる活躍が期待される。

⇒山田風太郎賞公式サイト
■『光圀伝』(上) 冲方丁 角川書店 630円(税込)
■『晴天の迷いクジラ』 窪美澄 新潮社 1260円(税込)