話し方マニュアル本ブームの筆頭、斎藤孝先生が指南する雑談(=ムダ話)の極意決定版!

更新日:2013/6/27

雑談力が上がる話し方

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : ダイヤモンド社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:齋藤孝 価格:1,242円

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のっけから個人的な話で恐縮です。私の大学院時代のゼミの先輩に、雑談セミナーを運営されている方がいらっしゃるのですが、ネット検索すると通信講座や関西展開もするほどの盛況ぶり。生徒さんの声をのぞくと「話すのがとても苦手で」「よく人から怖いと言われる」等の悩みをもつ方が多く受講されている様子でした。

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上記の先輩のセミナーはほんの一例で、今や、話し方教室や会話が弾むコツについて書かれた書籍をあげれば、枚挙にいとまがありません。つまりそれほど「話す力」や「雑談力」は多くの人に必要とされており、齋藤孝先生のこの本が現在累計33万部のロングヒットを飛ばしているのも、その表れなのだと思われます。

しかし雑談力って、なんでしょう? 私たちにとって、なぜ必要なのか。その答えは本書の冒頭に示されています。

雑談とはズバリ、ムダ話のこと。しかし雑談とあなどることなかれ。斎藤先生は<初対面同士でも、わずか30秒のムダ話をはさむことで気まずさが解消され、周囲の人に安心感や信頼感を与えることができ、より多くの出会いやチャンスをつかむことができる>と述べています。ここまで言い切られると、そこまで万能なのか? とつい疑りたくなってしまいますが、実際、雑談力が多少あるのとないのとでは、社会人生活においてのちのち差がつくものだと筆者自身も実感するものであります。

ビジネスに直接関係のない中身がない雑談は<その場にいる人たちと同じ空気を共有するために、する意味がある>という雑談のルールから始まって、<悩んだら、まず「ほめる」>と基本マナーをレクチャーしたのちに、人気マンガや司会仕事が多いTOKIOの国分太一さん、リアクション上手な大阪人など雑談の達人から学ぶ具体例に触れるなど、実生活での応用が利きやすく構成されています。

読み進めるうち、雑談力は「人付き合いがうまい人が持つスキル」であり「目の前の相手と心を通わせるためのもの」であり、つまるところ「トーク力ではなく、コミュニケーション力である」という、その本質がわかってきます。相手に対する想像力や配慮が欠かせない、双方向な技術であるということなのでしょう。

個人的に特に参考になったのは、雑談が行き詰まったときのスキルです。その対策は<人の話しから連想して、話題をずらす>。サッカーで言えばスペースを見つけるのと同じだそうです。ボール(雑談)が展開しやすいスペース(話題)を見つけたら、すかさずそこに走り込む(話題をずらす)。 なんとも明解! 齋藤先生はわかりやすいたとえに落とし込んで解説するのがお得意なので、全体的に読みやすく頭に残りやすいのもうれしい限りです。


朝のあいさつにプラスαの言葉があるだけで気持ちがうちとけ、顔見知り以上の存在になれると齋藤先生

雑談力は社会性を高めるためのスキル。練習すれば、話し下手、口下手な人でも自分なりの雑談ができるようになるとのこと

雑談のベストバランスは、相手8対自分2。聞きっぱなしでも、話しっぱなしでもアウト!
(C)齋藤 孝/ダイヤモンド社