御社がブレストで結果を出せない理由

公開日:2014/9/29

インサイドボックス 究極の創造的思考法

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 文藝春秋
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:Kindleストア
著者名:ドリュー・ボイド 価格:※ストアでご確認ください

※最新の価格はストアでご確認ください。

 「枠にはまっていない」「枠をやぶる」といった表現からもわかるように、従来は枠のなかでは創造的なアイディアなど見つからないと考えられていた。新しいアイディアはいつも外側から来るものだと考えられ、それを得るために様々な方法が生み出されてきた。最たるものがブレーンストーミングだろう。

 しかしブレストは、じつはほとんど役に立っていない。著者たちが指摘する事実は衝撃的だろうか(それとも、うすうす感づいてました?)。人が多すぎる場所では集中してものを考えにくいし、ただ同調して発案者のおこぼれに預かろうとする者も多い。なにより人は間抜けに見られたくないものなので、実行可能性のあるアイディアより突飛なアイディアに発言が偏りがちと著者たちは推察する。枠の外の発想は無秩序になりやすく、かえって問題に集中しにくくなるのだ。

advertisement

 では創造的なアイディアが見つかるのはどこなのか? 著者たちは枠のなか(つまりインサイドボックス)にこそイノベーションの機会があると説く。そして現実に、確固とした方法論を導き出し、ジョンソン&ジョンソンなど巨大企業の新プロジェクトで不可能と考えられていたイノベーションを引き起こしてきた。

 そのテクニックは「引き算」「分割」「掛け算」「一石二鳥」「関数」と呼ばれる5つのひな形に分類できる。引き算とは、たとえば新製品を開発するときに、それまで不可欠だと思われていた要素を取り除いてみることだ。たとえば油性マーカーからポリマーをとりのぞくと、ホワイトボード用の消せるマーカーができる、というわけだ。

 より詳しい説明、ほかのひな形の使用例について知りたい方は本書を読んでいただきたいが、発明や創造などひらめきが関わる分野に方法論など適用できるのかと考える方には、武道・書道・華道など日本が誇る文化は、すべて型を学び体得した上で新しい技なり作品なりに結実するものだということを思い出していただければご納得いただけるだろう。なにしろ今日から応用できるテクニックが満載。これを読まずして新たなイノベーションはない。

 


章ごとにまとめのノートがついており、要点を理解しやすい

研究者が調査したブレストの実効性。もはや惨憺たる結果と見える

天才でなくともノウハウを知れば創造はできる。これこそ方法論以上に重要なメッセージだ