人口が減ると、どんなことが起こるのか? 具体的で現実的な話です

公開日:2012/8/30

2100年、人口3分の1の日本

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:鬼頭宏 価格:668円

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日本は、人口減少の社会に転換した。多くの人がご存じだと思う。具体的な試算では、2055年にはおよそ9000万人、さらにその50年後の2105年にはおよそ4500万人にまで減少するそうだ。現在の人口が1億3000万人弱であるから、100年間に3分の1にまで減るということになる。『2100年、人口3分の1の日本』というこの本のタイトルのとおりだ。

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人口減少における第一の問題は、15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少するということ。労働力が不足し、生産力は弱まり、景気の停滞をまねく恐れがある。また、都市圏への人口流入が進み、地方には集落が維持できない限界集落が広がる。これは、現在進行形だ。

本書では、歴史人口学者である著者が、人口変動の歴史や現代の社会制度、国家や家族のあり方など、豊富な資料と考察をもとに、これからのあるべき日本の姿を提言している。

人口が減少するということは、「文明の成熟化」に伴う必然的な現象らしい。「多産多死」から「多産少死」を経て「少産少死」へ。これは社会や産業の成長とともに変化する自然な流れであり、これとともに社会は人口増加から人口減少へと転換していく。日本社会は歴史の中で幾度かこの現象を経験している。そのシステムは本書に詳しい。

人口が減るということは、社会のシステムにどんな変化を及ぼすのか、その変化のなかで、我々はどんな未来を描かねばならないのか。現状維持というわけにはいかない、というのは間違いない。2100年。今年生まれた子どもが生きていれば88歳。さすがに自分は生きていないだろうけど、十分に間近に迫った未来の話だ。


1974年の『人口白書』では、人口が増えも減りもしない「静止人口」を目指すために、政府は出生抑制を強化すべきと名言

世界人口における日本人口の割合は、2050年には1.1%にまで低下。人口減少を補えるほどの経済成長を続けなければ経済力は衰退する

2005年、子どもまたは高齢者1人を現役世代2人で支えていた計算になるが、これが2055年になると現役世代は1人で支えなければならなくなる

全国をおよそ1km四方の区画に区切ると、2050年までに人口が現在の半分以下になる区画は66%、人のまったく住まない「無居住化地点」が全国で22%も発生するという

「過疎地域からの積極的な撤退」と「再定住」が今後は必要になる

もちろん移民の受け入れに関しても言及している