おすしのネタってこんなお魚だったんだ! 親子で学んで楽しめる絵本『おすしのずかん』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12


『おすしのずかん』(大森 裕子:著、藤原昌高(ぼうずコンニャク):監修/白泉社)

子どもはお寿司がだ~いすき! エビ、いくら、マグロ、サーモン……と子どもに人気のネタはいろいろあるけれど、スーパーに並んでいる魚は切り身ばかり。自分が食べているお寿司がどんな形をしたお魚なのか知っている子どもは案外少ないのでは?

「実は親のわたしも知りません……」というママも大丈夫。昨年12月に発売された『おすしのずかん』(大森 裕子:著、藤原昌高(ぼうずコンニャク):監修/白泉社)は、親子でお寿司のお魚のことを学んで納得したり大笑いしたり、1冊で何通りも楽しめる絵本です。

お寿司が描かれた表紙をめくると「へい、いらっしゃい! ぺんぎんずしへ ようこそ。」とかわいいぺんぎんの板前さんたちがお出迎えしてくれます。ページを開くとあらビックリ! あかいお寿司だけズラリと並んで、子どもは「あかいおすしだけでもこんなにいっぱいあるんだね!」ときっと驚くはず。

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ひとつひとつ見ていくと、よく知っているまぐろの赤身や大トロ、中トロだけでなく、「まぐろゆっけ、づけまぐろ、あぶりまぐろ、かじき、すま、びんとろ(びんなが)、かつお、さーもん」とバリエーション豊か。次のページを開くとそれぞれのお寿司の魚のリアルな絵が目に飛び込んできます。ひと言ずつ説明もついていて、たとえば一番大きいまぐろは「1ぴきで、 10000こ いじょうの おすしが できるほど おおきい」といったマメ知識に「へぇ~、ひとりひとつ食べたら1万人分だね」なんて親子で会話が弾むことうけ合いです。

「しろいおすし」には、たい、ぶり、かんぱちなどの定番ネタだけでなく、もみじおろしと肝付きのかわはぎやのどくろなど通好みのネタも。あじ、こはだ、さんまの「ひかるおすし」やうなぎやあなごの「ながいおすし」もあって、実物の絵は理科の教科書のように本物に忠実に描かれています。

なかでも一番盛り上がるのは「あれ? たまごやエビは?」と子どもが気にしはじめる頃に登場する「そのほかのおすし」。

なぜなら「たまご、くるまえび、たこ、いか、ずわいがに」のほか「ぎゅうにく、はんばーぐ(ぶた)、てりやきちきんろーる」といった回転寿司で人気のネタが一気に出てきたと思ったら、次のページでは牛やぶたが魚たちと一緒に海を泳ぎ、にわとりが海の中で卵を産んでいるのですから!

その動物たちの下にさりげなく書いてある「そもそも うみに いない。」「めったにおよぐことはない。」「(たまごは)うみのなかでは うまれない。」といった説明も洒落が効いていてユーモラス。

最後は、ぺんぎんの板前さんたちがせっせとにぎったお寿司をゾウ、パンダ、クマ、ネコ、コアラなどいろんな動物たちが美味しそうに食べています。一冊読み終える頃にはお腹が鳴って「今日はおすし食べようね!!」と親子で意気投合することまちがいなしです!

文=樺山美夏