中学でも必修化されたダンスがBL界でもブームに!

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更新日:2013/2/26

 ニコニコ動画で「踊ってみた」の動画が人気で、昨年からは中学校でダンスが必修化されるなど、最近世間で注目を集めているダンス。マンガ業界でも『ボールルームへようこそ』(竹内 友/講談社)や『鉄楽レトラ』(佐原ミズ/小学館)、『BUTTER!!!』(ヤマシタトモコ/講談社)といったダンスマンガが流行っているが、BLでもダンスブームが来ているようだ。

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 2月16日に発売された『10DANCE』(井上佐藤/竹書房)には、ワルツ、タンゴ、スローフォクストロット、ヴェニーズワルツ、クイックステップの5種目で競うスタンダードの日本チャンピオン・杉木信也と、サンバ、ルンバ、チャチャチャ、パソ・ドブレ、ジャイブの5種目からなるラテン・アメリカン部門の日本チャンピオン・鈴木信也が登場する。そして、互いに互いのダンスを教え合って10種のダンスをマスターし、ダンスの「ゴージャスなトライアスロン」とも呼ばれる10ダンスに挑もうとするのだ。名前だけはそっくりなのに、基本の型をしっかり叩き込んでからというスタンスの杉木と音や身体の動きでダンスを覚える鈴木とは、性格もすべて正反対。お互い気に食わないところも多々あったのに、一緒に練習を重ねるうちにだんだんと距離が近づいていく。海外の試合で杉木がいない間なんて、電話で「アンタがいないのに踊れるわけねーじゃん」「とっとと帰って来いよ」なんてまるで彼女のようなことを口走る鈴木。もはや、最初の手の握り方1つで相手が何を考えているかまで伝わるようになってしまうのだ。

 そして、絶版となっていたが最近『タンゴの男 the final』(岡田屋鉄蔵/宙出版)として出版された本には、タイトル通りタンゴに魅せられた男たちが登場する。と言っても、こちらは社交ダンスなどのタンゴではなく、激しいアルゼンチンタンゴ。ダンサーのアンジーは、タンゴはダンスを使った「リアルタイムの会話」だと言っている。恋人と会話するのに、セリフを決めてしゃべる人なんていない。それと同じように、感じたままに足を動かしていけば、言葉などなくても、手から、視線から、ステップから、相手への思い。今何を感じ、伝えようとしているのかさえわかるというのだ。

 また、ともにバレエダンサーとして活躍する義兄弟が登場するのは『つまさきに火』(柳沢ゆきお/祥伝社)。クラシックからモダンに転向し、トップバレエ団に所属することになった兄のレジスと弟のユーイ。彼らは2人で踊ることで、家を出た母や母を追い詰めた父、彼らを許せなかった自分たちの思いを昇華させるのだ。それに、兄と喧嘩をして調子が悪くても、彼に余計な心配させたりしないように「痛みも憂いも呑み込もうとして」踊り続けるユーイ。その姿を見ただけで、彼の思いが痛いほどに伝わってくる。

 言葉なんかなくても、手を取り踊るだけ。踊る姿を見ているだけでも、彼らの気持ちが伝わってくる。セックスするよりも深く相手を理解し、相手と交わることができる行為。それがダンスなのだ。もしも誰かと喧嘩したなら、言葉ではなく一緒に踊って気持ちを伝えてみるのも悪くないかも?