ゲーム業界、映画界、自衛隊……本気の仕事がしたい人に贈る“大人のチームワーク”マンガ

マンガ

更新日:2013/7/8

 チームワークというと、青春マンガやスポーツものが思い浮かぶ。その多くは、高潔な友情や清々しい勝利で彩られ感動的だ。しかし、お仕事マンガのチームワークは、もっと骨太で泥臭く別種の魅力がある。“大人のチームワーク”ともいえるものだ。

『ダ・ヴィンチ』8月号では、本気で仕事をしたいすべての人におすすめする、大人のチームワークコミックを紹介している。

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 大人のチームワークって何? それは、個人が社会と対峙するときに生み出されるものではないだろうか。

大東京トイボックス』や『デラシネマ』が代表例だ。前者は、予算や納期、大企業のパワーゲームに翻弄されるゲーム業界を、後者は黄金時代であるがゆえに伝統と因習が根強い映画業界をつぶさに描いている。面白いゲームを追求する天川太陽と本物の映画作りを志すデラシネの二人。個人の思いが純粋であればあるほど、彼らは現実と対峙せざるを得ない。

 彼らは決して天才ではない。迷い、足掻き、多くの挫折をする。一人の力では、社会の壁を破ることはできないのだ。ここに、大人のチームワークが真の意味を発揮する。『ライジングサン』の教官は言う。「一人じゃ見られない景色がここにはある」

 何かを愛することは人のプリミティブな欲求だ。大切なものがある以上、人は社会と決別できない。他者とつながり愛を共有する。大人のチームワークこそが社会を生き抜く力なのではないかと思う。

■『大東京トイボックス』(1~9巻)
うめ 発行/幻冬舎コミックス 発売/幻冬舎 620~650円
天川太陽率いるスタジオG3は、弱小だが個性的面々が集う熱きゲーム制作会社。かつて太陽がいた業界最大手ソリダスが主宰する次世代機ゲーム開発プロジェクトに挑戦するが、ソリダスにうごめく陰謀に翻弄され……。太陽たちは己のゲーム魂を貫けるのか!?

■『デラシネマ』(全8巻)
星野泰視 講談社モーニングKC 570~610円
昭和28年、黄金時代の日本映画界。日映撮影所に所属する下っ端助監督の風間俊一郎と大部屋俳優の宮藤武晴。今は底辺にいる二人だが、ある約束を胸に“本物”の映画作りを目指していた。撮影所の因習に阻まれながらも、デラシネの情熱は燃え上がる!

■『ライジングサン』(1~3巻)
藤原さとし 双葉社アクションC 各630円
自分を変えたいと自衛隊に入隊した平凡な少年・甲斐一気。新隊員教育隊で出会ったのは、自分と同じようにここにしか居場所のない班員。自衛隊流腕立てや初めて手にする銃。ときに激しくぶつかりそして励まし合い、一気たちは厳しい基礎訓練に挑む!

構成・文=松井美緒