こんな保育園に入りたい!? ホストが働く保育園があったなら?

マンガ

更新日:2013/8/23

 保育園に入所できない待機児童の数を減らすため、最近では保育施設を増やしているようだが、肝心の保育士も全然足りていない。そんな状況のなか、夜の世界でも華やかなイメージのあるホストが保育士として働くことになったらどうなるのだろう? 8月12日に発売された『赤ちゃんのホスト』(丘上あい/講談社)では、元ホストの太郎が亡くなった父親の跡をついで認可外保育園の園長になる。果たして、ホストに保育園の仕事が務まるのだろうか。

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 そもそも、保育士の資格もない太郎が園長になれるのかと思うかもしれないが、認可外の保育園の場合、保育士免許を持っている人はひとりいれば問題ないそう。そういったことはもちろん、保育園に関する知識も一切ない太郎。認可保育園と認可外保育園の違いどころか、保育園と幼稚園の違いすら分からなかった。幼稚園と保育園では管轄する省庁や仕事のメインとなるのが教育か保育かという違いがあると聞いても「…なにそれおいしいの?」とポカーンとしてしまう。おまけに、認可外は国が決めた基準を満たしていないけど、独自のサービスができると聞いて「なんかアウトローって感じでかっこいいね認可外」とテンションが上がるのだ。たしかに、太郎の園長先生ぶりは、アウトローというか、とにかく規格外だ。

 たとえば、園児の母親たちと接するときには自然とホストの頃の名残が出てしまう。「てゆか俺18歳以上の女子の相手しかしたことないんだけど」という言葉通り、18歳以上の女性の扱い方はお手の物。15歳と2歳の子を持つ母親には、初対面でも「全然見えないな…むしろ子供なんか産んだことないみたいに肌も綺麗だし…」と流れるように口説き文句が口から飛び出す。子育てで疲れ果て、髪を切ることも化粧をすることも忘れてしまった女性には「子供を産もうが年を重ねようが女性が女性でなくなっていい理由なんかありませんよ」と優しく語りかけるのだ。仕事や育児のことで、悩みを抱えていることも多い母親たち。そんな彼女たちが、保育園の送り迎えに行くだけで太郎に癒されるのだから、ホストがいるのも案外悪くない。

 そして、初めは「子供嫌いだし」と言っていた太郎も、慣れてくれば彼なりの方法で子どもたちを喜ばせようとする。園児にミルクを飲ませるときは「はーいシャンパンシャンパン! 今夜は寝かさないよー! 飲んでー飲んでー飲んでー飲んでー」とコールするし、飲み干した後は「大地さんからイッキいただきましたぁ~~~!」と子どもも巻き込んで盛り上がる。お昼寝の時間も、子どもに添い寝しながら「そんなつぶらな瞳でこっちを見られたら…俺どうしていいかわかんなくなっちゃうよ…そんなに俺のこと好き? じゃあ…今夜は…寝かさないよ?」と語りかける。新しく園に入ったしおりという名前の子には「可愛い名前だね…僕も君の心のしおりになって思い出を刻みたいな…」などとふざけたことを言いながら、早く馴染めるように緊張をほぐしてあげるのだ。

 ホストと保育士は一見かけ離れた仕事に思えるかもしれないけど、人と接するという点ではどちらも同じ。それに、うまく思いを伝えられない子どもたちやいろんな事情を抱えて認可外の保育園に来る母親と、ホストに通う女性たちには、それぞれ言葉にできない思いや悩みがある。それらを汲み取って癒すところなんかは、とてもよく似ている。意外と保育士は、ホストの次の就職先としてピッタリなのかもしれない。

文=小里樹