1秒の手間すら面倒くさい人へ! ざっくりBOXで時短片付け

生活

公開日:2014/6/23

 部屋が、汚い。

 仕事がたてこみ片付ける時間がないのと、連日の猛暑でやる気が出ないのと、もともとモノが多すぎるという、“片付かない理由”が積み重なって、部屋の中が惨状を呈している。

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 モノが多いと暑苦しさも増し、集中力だって落ちてくる。そんなとき、1秒の手間すら面倒な人にも片付けられるという画期的な方法を提案する本、その名も『ざっくりBOX 最速スッキリ片づけ術
』(古堅純子/SDP)を発見。

 著者の古堅氏は、キレイ好きが高じて富裕層向けの掃除サービス会社に入社、整理収納アドバイザー1級を取得したという幸せ住空間セラピスト。そんな彼女の提案は、ただひとつ。

 「ざっくりBOX」という箱をとりあえず作ってみること!

 それだけで、片付けに対するマイナスイメージや習慣すらガラリと変わるのだという。その証拠として本書には、スッキリ住空間を手に入れたことにより、幸せが訪れたという人たちのコメントが並んでいる。

「うちの夫は、家が片付いてから仕事の調子も上がったようで、部長に昇進できました」
「反抗期の息子が、私に“ありがとう”と言ってくれた!」
「恥ずかしながら、部屋が片付いてから、セックスレスが解消されました」等々。

にわかには信じがたいが、著者曰く
“余計なモノがないと大事な物事に目が行き届くようになる”


“物事が効率よく回りだす”


“悩みが減り心も穏やかになり表情までスッキリ!”
なのだという。「片付け」がゴールなのではなく、自分のいる空間が「快適な空間になっているかどうか」が重要らしい。

 ではまず、ざっくりBOXを「体験」してみよう。

 とりあえずの「体験編」では、家にある大きめのカゴや袋を使ってもOK。部屋を見渡し、テーブルや棚、イスや床の上に置いてあるモノを、とにかく何も考えずにポンポンとざっくりBOXに放り込む。ポイントは「キッチリとジャンルごとに整理整頓しようとする気持ちを捨てる」こと。せっかくやるのだからイチからキチンと区分けしたい、モノと対話しながら選択したい、な~んて考えていると、おそらく永遠に片付かない。

 仕事で使うデカめのスタイリストバッグの中に、イスの背にかけられた服、読みかけの本や雑誌、資料の束、ノートやサブバッグ、DVD、こまごました文具などなど、とりあえず言われるままに詰め込んでみた。するとそこに現れたのは、チョイ置きしていたモノがなくなったスッキリ空間。つまりざっくりBOXは「チョイ置き」でモノだらけになるのを防止する「防波堤」になってくれるのだ。

 心地よいスッキリ空間を「体験」したら、いざ、本番のBOXづくりに進んでみよう。

 まず、ざっくりBOXは必ずしも箱である必要はなく「ざっくりしてもいいスペースの“枠(境界線)”」をつくることに意味がある。場合によっては、タンスの1段目を「ざっくりスペース」にするのもありなのだ。これはちょっと斬新。

 箱で行う場合は、「部屋の空間内での見栄え」と「出し入れの効率」を重視すること。ちょこん! と置いても、部屋の雰囲気を崩さず、決して悪目立ちしない色や素材感。もちろん、入れたモノが外から丸見えにならないことは必須だ。ちなみに古堅家の場合は籐のカゴが多いらしい。

 BOXに入れるモノは、充電器やアクセサリー、脱いだ服など、毎日のように使う「流動物」と、郵便物やチラシなど、定位置が決まっていない「浮遊物」。つまり、使うたびにいちいち定位置に戻すのがめんどうなモノと、部屋の中で置き場所に迷うグレーなモノたちをまとめて受け入れる、「中間的な定位置」がざっくりBOXと考えていい。

 そしてざっくりBOXは、自分が普段「チョイ置きしやすい場所」に設置すること。どこでモノをせき止めたら部屋が散らからないのか、自分の行動パターンからその場所を見極める。

 ざっくりBOXそしてBOXが「流動物」を取り出すことが困難になるほどいっぱいになったら「中身を見直すタイミング」。間違ってもBOXをもうひとつつくってはイケナイ。

 ざっくりBOX内の必要なモノと不必要なモノを見直すポイントは、次の5つ。

1)普段からよく使う「スタメン」アイテム→流動物の中でも使用頻度が高いので、BOXに残留!
2)たまに使う「控え」アイテム→使用頻度は高くないので、本来あるべき位置に戻す
3)とりあえず保管する「2軍」アイテム→出し入れしない収納の奥のスペースへ移動
4)使わず「戦力外」になったアイテム→ためらわずに処分!
5)どうするか決めかねる「浮遊物」→BOXに残留

 本家断捨離に通じる「自分がそれを持つことで幸せになれるかどうか」「自分にとっての必要度で考える」などの“価値観軸”ではなく、客観的な尺度となる “使用頻度”がカギとなる。また「ひとつひとつ慎重に捨てる」のように感情を重視しないこともポイントだ。

 また、どんなに面倒くさくても、箱がいっぱいになったら中身を見直して整理する、という作業だけは行うこと。それを繰り返していくと、いつの間にかモノが淘汰され、本当に必要なモノの順位が見えてくるのだという。

 モノだらけでわちゃわちゃになってる空間があったら、とにかくまず、モノをBOXに投げ込んで「空間」をつくりだすことが、いちばんのキモだと感じた。いつもの部屋から細かなモノが姿を消し、空間が広くなると、人は気持ちが清々しくなる。

 ちなみに筆者は、真っ白な長方形のローテーブルの下を「ざっくり」スペースに設定して、床にじか置きしていた本たちを、取捨選択せずすべて押し込んでみた。すると瞬時に片付けが終了し、フローリングにスッキリ空間が生まれた。

 しかし、机の下はすでに足を入れることもできないカオス状態。頻繁に見直しづらく、ざっくりにもほどがある。みなさんはぜひ、適切な箱でお試しください。

文=タニハタマユミ