「コイツ頭悪っ!」と思われてるかも… 20代、30代から日常的に「脳」を鍛える方法

ビジネス

更新日:2015/12/10


『まんがで鍛える 脳の強化書』(加藤俊徳:著、たみ:まんが/イラスト/あさ出版)

 美味しかった名店の名前が思い出せない、やったことをすぐ忘れてしまう、マジあの人頭の回転が早くて羨ましい! 自分のアタマ、もっと働いて! 日々そんな自己嫌悪に陥ってはいないだろうか?

 ここでオススメしたいのが、「脳の強化」方法をマンガでわかりやすく解説した『まんがで鍛える 脳の強化書』(加藤俊徳:著、たみ:まんが/イラスト/あさ出版)。著者は、胎児から超高齢者まで1万人以上の脳を分析、研究した医学博士で第二次脳トレブームの火付け役となった加藤氏。なんでも脳は、決められたカリキュラムをこなしていた学生時代よりも、刺激の多い社会に出てからの20代~40代にかけてが最も成長するそう。脳は老化とともに衰えると思って諦めるのはまだ早いのだ!

 類書は数多あるけれど、本書の大きな特徴は、 脳の中を8つの番地(脳番地)に分け、休眠中の脳番地を把握して重点的にトレーニングで鍛えるという点。

advertisement

 そして、マンガならではの設定も興味深い。「あなたの脳…“輪切り”にしてもいいですか?」といかにも理系っぽい発言をかます、帝都大学・脳科学センター勤務の脳科学者・神条錬と、「脳」を強化したい都内の出版社勤務27歳の能見はな。2人の「脳トレ」ストーリーとともに「脳」を鍛える方法を知る1冊なのだ。とても身近な話だからか、読み進めるほどに、すぐに効果がでそうな自信が湧いてくるから不思議だ。

8つの脳番地を知っておこう
①思考系 ②感情系 ③伝達系 ④理解系 ⑤運動系 ⑥聴覚系 ⑦視覚系 ⑧記憶系

 そもそも、脳を鍛える前と後とでは、脳自体にどんな変化が見られるのだろうか? それは、MRI検査で「脳の枝ぶり」をみれば一目瞭然。個人差はあるものの、半年~1年のトレーニングで、変化が現れるという。脳を使い込むほどに、脳の中に「枝」のようなものが伸び太くなり、黒くうつる。逆に赤ちゃんの脳は、その「枝」があまりなく、白っぽいそうだ(画像参照)。とはいっても、MRI検査は容易ではないので検査をしなくても、この「枝ぶり」が豊かになれば、仕事や生活に変化がでてくるはずなのだ。


どんなトレーニングがあるのだろう?
たとえば、こんなことも。
「休日の行動計画を他人に決めてもらう」
「カフェでお店の人に話しかけてみる」
「10年前に読んだ本をもう一度読む」
「振りつきでカラオケをする」…

なぜ効果があるのか? 
ここでは、2つの脳番地について紹介しよう。

 まずは、左脳・右脳それぞれの前頭葉に位置する「思考系」脳番地。いわば「脳の司令塔」のようなもの。思考や意欲、創造力などを司っていて、思考力が上げれば決断力もアップ。自分の意思を強くもつこともできるので、他の脳番地へ明確な指示が出せるというわけだ。

そんな「思考系」脳番地を鍛える簡単なトレーニング法は?
「毎朝その日の目標を20字以内で立てること」
だそうだ。

 どの脳にも「クセ」が存在する。人による「クセ」もあるが、誰の脳にも共通して存在するのが「数字」に対するクセ。「数字」という制約があることで、脳は、その範囲の中で言葉と内容を吟味し、うまく要約しようとする。それが脳の強化につながるのだ。よって、「20」という具体的な数字が脳に「負荷」をかけ、「探しだそう」とする努力が思考力を鍛えてくれるのだ。寝る前に「今日特に印象的だった3つのこと」を記録するのもいいだろう。

 さらに強化したい場合は、自分が置かれている状況を異なる立場からとらえる力(視点の移動)を磨くのもひとつ。そのためのトレーニング法としては、自分の意見に対する「反論」を考えてみたり、誰かに「休日の行動計画を決めてもら」い自分なら絶対に行かない場所で予想外の行動をすることが眠っていた脳番地を強く刺激する。思考力が高くなるのはもちろん、抽象的な思考が身につき、柔軟な情報操作にも対応できるようになるという。

伝達系」脳番地を鍛えるには?

『伝え方が9割』(佐々木 圭一)や『伝える力』(池上彰)がベストセラーになるくらい、自らを話し下手だと思っている人、「何を言っているかわからない」と言われたことがある人は少なくないようだ。「伝える」ためのあらゆる行為が「伝達系」脳番地の守備範囲。

 言葉を使って伝える「左脳」、非言語を使う「右脳」。どちらを使うにしても、左脳の伝達系脳番地が発達している人ほど、話し上手ということ。トレーニングは、相手との話に3秒間の「間」を開けるのがキモ。「間」をつくり落ち着いた状況で会話すれば、その間に相手の変化を敏感にジャッチでき、相互理解が深まる。そのうち相手の「口癖」を探したり、相手の回答に3つの選択肢を設け、「数字」で脳を刺激しながら話すと、そのための準備と分析をする思考の働きが、脳の強化に繋がるという。ぜひビジネスの場などで試してもらいたいが、会話の相手にもよるし、意識しすぎて会話がちぐはぐになってしまうのでは? と不安な人は、カフェの店員さんに「このコーヒーの産地はどこですか?」と尋ねてみよう。見知らぬ人に「ぶっつけ本番」でコミュニケーションをとると伝達系脳番地がフル回転するそうだ。
 また、社会人サークルによくあるフットサルなどの団体競技をやると、今自分が置かれている状況を瞬時に理解する力が磨かれ、職場の人とのコミュニケーション力アップに繋がるそうだ。

 このように、8つの脳番地それぞれのトレーニング方法が分かりやすく解説されている。ただし、一番のNGは脳トレが受動的だったり、惰性になってしまうこと。「慣れ」は脳の成長を拒む最大の要因にもなる。日々、新しい驚きを脳に与え続けることが大事なのだ。

 はたして主人公・能見はなの「脳」はトレーニングスタート時と比べてどれだけ「枝ぶり」がよくなったのか? 仕事に恋(!?)に、はなはどうなる…!? ぜひ本書で確認してみてほしい!