リア充にはアイディアセンスがない? 成功に必要なセンスを磨く方法

ビジネス

更新日:2016/2/2


『成功者は、だから努力をせずにセンスを磨く』(マルコ社)

 孫正義(ソフトバンクグループ創業者)、稲盛和夫(京セラ・第二電電〈現KDDI〉創業者)、レイ・クロック(マクドナルドコーポレーション創業者)など誰もが知っている実業家の多くは若くして成功を収めている。数字を読む力、ビジネスチャンスをかぎ分ける力、運をつかむ秘訣、彼らの圧倒的経営センスはいったいどこから生まれたのか。このような疑問に答えるのが『成功者は、だから努力をせずにセンスを磨く』(マルコ社)だ。

 第1章では成功者になるためのセンスの磨き方が書かれているが、ここで注目したいのはアイディアを生み出すセンスの磨き方だ。

友達がたくさんいるようなリア充はアイディアセンスがない可能性が

周囲から認めてもらいたいという承認欲求はアイディアを殺す危険が

 意外にも常に周囲に大勢の友人が集まり、いつも何かイベントを楽しんでいるいわゆる“リア充”の人間はアイディアを生むセンスのない人間の代表として取り上げられている。大勢で盛り上がっている時には楽しいアイディアが出てきそうだが、どういったことなのか?

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 実は友達はもともと価値観の似た者同士が集まる傾向にあり、コミュニティには目に見えない規格が存在する。こういった場所で新しいアイディアや発想を持つ人間は生まれにくく、また、生まれたとしてもすぐにはみ出してしまうのだ。誰とでも合わせられる人間というのは言い換えればまったく個性のない人間とも言える。多くの人に認めてもらいたいという欲求はビジネスの世界ではせっかくの個性を殺しかねないということを覚えておこう。

 しかし、多くのIT長者たちは大勢の従業員に囲まれ、仲間と一緒に会社をもり立てているではないかと思うだろう。それは実は

「どんな提案でも『それは面白い!』と無邪気に賛同してくれるイエスマンを集めて構想を練る」(稲盛和夫)

 というだけなのである。イエスマンというと自分の頭で考えず場の雰囲気に合わせるというような悪いイメージを抱くかもしれないが、ここでは自分が出したアイディアを理解し、面白がって盛り上げてくれる人のことを指している。重要なのは新しいアイディアを一切否定しないことだ。結局成功する人は自分自身のアイディアをどこまで追求できるかがカギとなっている。そのためにはノイズの入らない環境で自分自身としっかり向き合い感性を研ぎすます時間は必要不可欠だ。

 続いての第2章では組織を成功に導くセンスの磨き方を紹介している。ここで大切なのはなんといってもハートをつかみ、人を動かす人心掌握術を磨くことだ。リア充は社長に向いていない、友達の多い人間はセンスがない、と言い続けてきたのにここへきて人心掌握術とは…と思うかもしれないがまさしくその通り。

 結論から言ってしまえば「人心掌握術に悩むぐらいなら経営者なんてやらないほうがいい」のだ。人を動かすカリスマ性を持つ経営者はわがままで自己中心的。自分の欲求に忠実で欲求をかなえることしか頭にない場合が多い。しかし、その情熱こそが人を動かし、巻き込み、ひきつける圧倒的なパワーとなるのだ。会社勤めでは個性的すぎる人間は煙たがれ、扱いにくい人間とされるが、ひとたび経営者となるとその個性が光り輝き、多くの人を魅了する存在になることも珍しくない。人についてきてもらいたいならまず自分が走り続けることが大切なのだ。

 結局センスのある経営者とは自分のやりたい仕事に対してどれだけわがままで欲望に忠実であるかが重要となってくるようだ。もちろんすべての起業家が成功を収めるわけではない。しかし、日頃の人間関係にストレスを感じたり、SNSの返信に一日の時間の大半を費やしたりしている人は、一度自分自身の本当にやりたいことは何か見つめなおしてみてはどうだろう。世界をあっと言わせる思いがけないアイディアが眠っているかもしれない。

文=朝倉志保