社会

中国人の爆買いはいつまで続く? 日本人と中国人お互いが理解し合えばその先にあるものが見えてくる!


『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?―中国人のホンネ、日本人のとまどい』(中島 恵/プレジデント社)

 近年中国人観光客が増え、全国各地でその姿を見かけるようになった。そして、ニュースやワイドショーでは、度を超した爆買いやルール違反のことばかりが取り上げられている。中国人特有の行動や爆買いについては「日本人の感覚ではわからないもの」という前提で語られることが多いが、果たしてそうなのだろうか? そこで、今回は日本を訪れる中国人の本音や、それを迎える日本人の受け止め方についてさまざまな角度からまとめた『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?―中国人のホンネ、日本人のとまどい』(中島 恵/プレジデント社)という本をご紹介する。

日本を訪れる中国人は千差万別!

 日本では「中国人はみんなルールを守らない」「日本を訪れる中国人は全員爆買いをしている」と思っている人が多い。そのため、中国人観光客というだけで毛嫌いし、欧米からの観光客であれば許せることでも中国人がやると許せないと感じてしまう日本人もいるようだ。

 しかし、日本を訪れる中国人の中には「中国人はマナーが悪いと思われている」「中国人というだけで快く思われていない」ということを理解している人が意外なほど多い。そのため、ルールを守れていない中国人を注意したり、旅先で日本人とどうやって接したらいいのかを悩んだりするばかりで、せっかくの旅行を心から楽しめずに帰っていく人も少なくないというのだ。

 確かに、中国は日本の約25倍もの広さの土地に、10倍以上の人が住んでいる国だ。その中にはいろいろな生活レベルの人がおり、住んでいる地域によって常識としている考え方にも違いがある。つまり、中国人は日本人よりも格差が大きいのだ。そのため、求めている旅行の内容も旅先での過ごし方にも差がある。そのことを日本人も理解する必要があるようだ。

バブル期の日本人を思い出してみると…

 この本の中で著者は「今の中国はバブル期の日本とそっくりだ」と言っている。実際にバブル期を過ごした人ならわかるだろう。日本人もかつて今の中国人と同じことを言われていた時代があった。ヨーロッパや香港でブランド品を買いあさり、あまりのマナーの悪さに出入り禁止を食らったことも、観光地で落書きをする人が多くて非難されたこともすっかり忘れてしまったというのは虫がよすぎるだろう。

 更に固定相場の時代までさかのぼれば、ホテルでお風呂場をびしょ濡れにしたり、廊下をスリッパで歩き回ったりするマナー違反をいくつも指摘されてきた。腹巻にしまった貴重品を公衆の面前で取り出す日本人はマナーを知らないと言われていた時代もあった。日本人も同じような道を通ってきていたのだ。

団体旅行客と個人旅行客の格差が大きい!

 団体旅行で日本に来るのは初めて日本を訪れる人や、内陸部の農村地域に住んでいる人が多く、北京や上海などの都会に住んでいる富裕層は個人旅行で日本を訪れているということを知らない日本人は多いのかもしれない。ビザの取得条件が厳しい中国では、比較的取りやすい団体ビザで日本を訪れる人が多いのだが、本物の富裕層は個人単位で旅行を楽しみ、中国人が集まらない場所で日本らしさを味わって帰るのを好むのだ。

 これは日本人がハワイを旅行するときとよく似ている。お金を持っている人ほど日本人が集まる観光地を避け、現地の魅力に触れられるような個人旅行を選ぶ。そして、そういう旅行を楽しめる人は現地で通用するマナーをあらかじめ確認してから出かけるものだ。それは中国人旅行者でも同様なのだが、日本では圧倒的に人数の多い団体旅行客を目にする機会がほとんどであるため、中国人=マナーが悪いと感じることになるようだ。

国内で言われているのと違う日本を実感して帰る中国人

 日本を訪れる中国人観光客は、「百聞は一見に如かず」という言葉を実感して帰っていくという。日本を訪れる前から中国国内で言われている日本や日本人像と実際の日本は違うということを知っているから日本を選んで旅行するというのだ。意外な感じもしたが、よく考えてみれば、わざわざ高いお金を払って嫌な国を旅行するわけがない。日本を訪れる中国人観光客は、自分たちの国に無いものが日本にあると信じ、日本に好感を持って来ているわけだ。

 中国人が今日本を訪れるのは、日本に自分たちの未来を重ねあわせているからだと著者は言う。日本を訪れた中国人は日本のよい所を学んで自分たちの国にも取り入れたいと考えていることを、日本人はもう少し理解した方がよいのかもしれない。

なぜ中国人のマナー違反が目立つのか

 この本の中には、中国人のマナー違反がなぜ目立つのかという理由も書かれていた。インフラが日本と比べて整っていないのが原因だというのだ。最近は少しよくなってきているものの、カギが壊れたままになっている公衆トイレが多いことがトイレでカギをかけない原因に、信号が故障してもなかなか修理されないことが自分の判断で道を渡ってしまう原因になっているという。律儀に待っていても順番通りに進まない国だから並ばなくなるという話はなるほどと思わされた。

 今ではインターネットの普及などもあり、それではいけないと思う中国人も増えてきているようだが、何せ人口が多い国。考え方や習慣の修正には時間がかかる。だから、日本人も中国人全員を同じものさしで見ないようにする必要はあるのだろう。

中国人観光客が爆買いする理由は?

 中国人が爆買いをするのには理由がある。頼まれて買って帰る分とメンツを保つために配るお土産と自分のため買うお土産の3種類があるのに全て同じものを購入してしまうからだ。中国人のお土産は、日本人の感覚とは異なる。日本人なら日ごろお世話になっている人に渡すところを、中国人はこの先の人間関係を築くためにお土産を利用する。

 また、中国ではパソコンよりもスマホの方が普及していて、「これを買うべき」というような情報を在日中国人が発信すると、それが人気商品としてよく売れるようになる。それを複数購入するから爆買いという形になってしまうのだ。

爆買いは続くが形は変わる?

 著者が言うにはまだまだしばらくの間は爆買いが続くらしい。いくら日本に来る中国人の数が増えているといっても、まだ中国全体の人口から考えるとほんの一部にすぎない。そのため、団体旅行で初めて日本を訪れる中国人がお決まりの形で旅行を楽しんで帰るとしたら爆買いが続くというのだ。しかし、徐々に個人旅行で日本を訪れる中国人が増え、団体旅行では味わえない日本を味わって帰るようになると、爆買いの中身も変わっていく可能性がある。爆買いの恩恵を得ている日本人も、偏見の目で見つめている日本人も、この本に書かれているような中国人の本音の部分を正しく理解しないと相手の変化についていけなくなるかもしれない。

文=大石みずき



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