会話は才能ではなくノウハウ! たったワンフレーズで誰でも話し上手になれる雑談のコツ

ビジネス

公開日:2016/11/18

『そもそも、何を話せばいいかわからない人のための雑談術 どんな相手とも会話に困らない40のルール』(櫻井弘/SBクリエイティブ)

 仕事先や職場内、パーティの席で、初対面の方やそれほど親しくない人と一緒になったとき、なにを話せばいいのかわからずに、お互いに沈黙が続いてしまう。そんな経験は誰にもあると思います。

 そんなピンチを脱するために『そもそも、何を話せばいいかわからない人のための雑談術 どんな相手とも会話に困らない40のルール』(櫻井弘/SBクリエイティブ)では、雑談の始め方、テーマの選び方など話し上手になるための雑談のコツを解説しています。

 そもそも話し上手な人とはどんな人でしょうか。話題が豊富でノリのよい人と思われがちですが、雑談では「話す」よりも「聞く」のが重要なのだとか。なぜかといえば雑談の目的は相手と人間関係を近づけること。人間は「相手の話を自分が聞いた」ときよりも、「自分の話を相手に聞いてもらった」ときに好意を抱くのだそうです。たしかに相手が話してばかりの一方的な自慢話などは辟易しますね。

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 相手に嫌がられないために、まず人と会話する3つのポイントを挙げています。

か・い・わの大原則
か=「簡潔に」
い=「印象深く」
わ=「わかりやすく」

 著者の櫻井弘さんは、いつも自己紹介で「私の名前は、さくらいひろしです」だけでなく、「さくらいのさくらは木偏に貝が2つなので、2階(貝)の女が気(木)にかかると覚えてください」と付け加えるといいます。イメージを思い浮かべてもらうことで相手に自分の印象を与え、会話を広げやすくするのです。こうした面白い自己紹介を用意しておけば、初対面の人と話すハードルも下がりますね。

 さらに会話を掘り下げるには、「ど」から始まる疑問詞を使うと簡単にテーマに踏み込めます。これぞ聞き返しのコツ「ドの法則」です。

ドの法則
「どういうことですか?」
「どうしてそれが可能だったんですか?」
「どこで起こったんですか?」
「どなたが当てはまりますか?」など

 会話に詰まったとき、なんと答えればいいのかわからないときは、とにかく「ど」から始まる質問をして、物事の「5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)」を引き出すのです。相手の話に興味や関心を持っている自分のアピールもできます。その話題について詳しくないとき、自分の意見がまとまらないとき、「どうしてですか?」は繰り返しているだけでも間を繋げられる万能のフレーズといえそうです。

 それでも話題が途絶えてしまったり、相手も言いたいことを言い尽くしてしまったりしたときには新しい話題が必要です。話題転換のコツは「ま・み・む・め・も」です。

話題転換のま・み・む・め・も
ま=「待てよと立ち止まる」
み=「見直してみる」
む=「向き(視点)を変えてみる」
め=「目配り(観察、洞察)する」
も=「問題意識をもつ」

 会話の最中にお互いに詰まるようになったら話題転換のとき。例えば相手が「最近、寝不足なんだよね」と言ったのに問題に感じず、「そうなんですか、大変ですね」と返したら会話が途切れてしまいます。そこで「(いや待てよ、睡眠時間を削って何をやっているんだ?)」と立ち止まって相手の立場になって推察します。「夜に何かされているんですか?」と返せれば「資格勉強を始めてね」という言葉を相手から引き出せるかもしれません。そうすれば「なんの資格を目指しているんですか? 何時間やっているんですか? どんな勉強をしているんですか? どれくらい身につきましたか?」と新たな話題にスライドできます。

 会話の流れは相手との受け応えによって臨機応変ですが、タブーが3つ存在するといいます。

3つのタブー
(1)決めつけや思い込みで聞く
(2)自分に都合よく聞く
(3)儀礼的に聞き流す

 例えば、「几帳面なんですね。血液型はA型ですか?」という根拠のない決めつけはよく聞きます。「この仕事は、時間が空いたらでいいから」と上司に雑用を振られて生返事でうなずき、自分は忙しかったからと理由をつけて、指摘されるまでずっと放置していたなんてすれ違いもよくあります。こうしたいい加減な気持ちの会話は相手を不快にさせ、トラブルの元になってしまうと警告しています。

 どんな人でも自分の解釈で言葉を捉えてしまったり、言葉選びを間違えて誤った意図を相手に伝えてしまったりします。ちょっとしたひと言で相手を楽しませたり、傷つけたりするのが雑談の難しさでもあり、面白さ。

 本書には、この他にも誰でもすぐに試せる雑談のコツや会話のテクニックが満載です。人見知りで人間付き合いが苦手な自分でも思わず誰かと雑談してみたくなりました。

文=愛咲優詩