その敬語の使い方、逆に失礼になってるかも…ビジネスマンなら身に付けておきたい、文章力の極意

ビジネス

更新日:2017/3/21

 人生で恥をかかない文章&文書の超・基本を1時間で復習できる『生涯使える大人の文章力スピード学習帳』が2017年2月24日(金)に発売された。

 仕事ができる人の文章や文書は、メリハリがありながらすっきりとしていて、「何が言いたいのか」が簡潔にわかりやすい。本書は、「文章がダラダラしてしまう」「相手に意図が伝わらない」など、うまく書けずに困っているという人に向けた一冊だ。

◆「させていただく」「いただく」を使いすぎてない?

ていねいな言葉を書こうとして、本来必要ではない個所に用いられる例も多く、使い過ぎると文章が「くどく」なる!

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(NG例)
今回、次回幹事長として同窓会に参加させていただき、当番幹事期の皆様のすばらしい運営を拝見させていただいたうえに、あたたかい励ましのお言葉をいただきました。このような経済状況の中、大勢の方が出席され、同窓会の結束力の強さを実感させていただきました。

「させていただく」は、基本的には、自分側が行うことを「(1)相手側や第三者の許可を受けて行い」「(2)そのことで恩恵を自分が受けるという事実や気持ちのある場合」に使う表現(文化庁文化審議会「敬語の指針」より)。NG例で使われた「参加」「実感」は、了解を得る相手もおらず、恩恵を受けるわけでもないので「させていただく」は不要。よく耳にする「ごあいさつさせていただく」などの表現も同じ。次のように調整するとベスト!

させていただく⇒いたしました/するしだいです
いただく⇒くださる/頂戴する

◆つい使ってしまいがちな表現を整理する

意識しないまま使ってしまう「クセ」のような表現がある。書き手は意外に気づかないものだが、読む側は「またこの言葉が出てきた」とゲンナリするもの。持って回った表現が多いと、文章が長くなりメッセージ力が弱くなる。

(NG例)ということ/というもの
顧客のニーズがわからないということは、企業にとってたいへん不安なことだ。企業というものは、いつもアンテナを張っていなければならないが、顧客の生の声を聞くということは、実際にはむずかしいということだ。

「ということ」「というもの」がなくても、内容は変わらず、それどころか格段にわかりやすくなる。伝聞をあらわすとき、断定的な推測を述べるとき、語句を強調したりする場合などの削れない例をのぞき、削れる個所は省くのが原則。

◆メールで心からの感謝を伝えるお礼の仕方

メールでは自分の気持ちを率直に具体的な表現で述べるのが好印象。「御礼申し上げます」はビジネス文書向きな儀礼的な表現で、「ありがとうございます」がベター。まちがいやすい「失礼なお礼表現」にも注意したい。

「何様のつもり」と思われてしまう失礼表現
×参考になりました。⇒◎勉強になりました
×感心しました⇒◎感服しました
×お願いして正解でした/助かりました
⇒◎おかげさまで、首尾よく運びました

 また、各パートの最後には実力判定ができる練習問題つき!

◆試してみよう!「敬語力判定テスト」

次の文章には敬語が過剰なところがある。適切な表現に直してみよう。

(1)お客様がお越しになられました。
(2)お名前様をこちらにちょうだいさせていただけますでしょうか。
(3)課長がご指摘されました個所は、早速、訂正いたしました。
(4)お車にお乗りになってお時間までお待ちください。

正解は…尊敬語、謙譲語の完成形には「れる」「られる」をつけない!

(1)お客様がお越しになりました。
「お越しになる」で尊敬語が完成している。「なられる」とするのは過剰。

(2)お名前をこちらにいただけますでしょうか。/ちょうだいできますでしょうか。
「お名前」で十分な尊敬表現のため、「様」は不要。「ちょうだいする」は謙譲語なので、さらに「させていただく」を加えるのはくどくなる。

(3)課長がご指摘の個所は、早速、訂正いたしました。
「課長が指摘された」と「課長がご指摘になった」がミックスしてしまったような過剰表現。「ご指摘の」のひと言で、スマートな言い方になる。

(4)車にお乗りになって(乗って)時間までお待ちください
「お」「ご」の使いすぎは聞き苦しいので、1文に1~2つまでにする。この際、「お待ちください」は生かして、敬語表現で文章を結ぶと丁寧。

 ビジネスで使える文章の書き方から儀礼的な社交文書や、実務的な社外への文書などの作り方、敬語まで学べる『生涯使える大人の文章力スピード学習帳』。デスクに常備することをおすすめしたい、文章マナーの基本書だ。

著者:杉本祐子
「くらし言葉の会」主宰。NHK文化センター札幌教室「『わかりやすい』と言われる文章の書き方」講座講師。1957年生まれ。津田塾大学卒業後、出版社勤務をへて、手紙や文章の書き方、冠婚葬祭のしきたりマナーなどの書籍編集や原稿執筆を行っている。主な著書は『新版きれいな言葉づかいと好感度アップの敬語』『心に響く葬儀・法要のあいさつと手紙&マナー』『必ず喜ばれる!友人・同僚のスピーチ』『新社会人の基本マナー&常識』(以上、主婦の友社刊)ほか。