イケメン書道家が田舎暮らしで自分を見つける、ほのぼのギャグコミック

更新日:2012/12/27

ばらかもん1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : スクウェア・エニックス
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:ヨシノサツキ 価格:308円

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「リタイア後は田舎暮らしをするつもりだ」。中高年を中心に、こういった声がよく聞かれるようになって久しいですが、若者世代でも田舎でのスローライフを夢見て農家や漁師の仕事に挑戦するケースが数年前から増加しているそうです。

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近年の就職難や都会生活に馴染むことの難しさなどが背景にあるようですが、これらを抜きにしても、日々の忙しさや複雑な人間関係に疲れたとき、ふと、「田舎でのんびり暮らしてみたいなー」と思ってしまう都会人が少なくないのでは。本作では、都会で失敗した新進気鋭の若い書道家が、のんびりときどきギャグな田舎暮らしを通して、人間的にゆる~く成長していきます。

都会育ちの主人公・半田清舟(23歳)は、将来を期待されたイケメン書道家。ある日、自分の作品が書道界の大物に「つまらない字」とこき下ろされ、逆上のあまり手を出してしまう。見かねた父親から、「自分に足りないものを見つけてくるように」と五島列島行きを言い渡され、田舎暮らしが始まるのです。五島は、長崎県の最西端に実在する人口約7万人ほどの列島。本作では、そんな五島を舞台に自然の豊かさ、島民の陽気さと温かさ、そして主人公のかたくなな心が解かされていく様が笑いとともに描かれます。

ところで、書は小・中学校で「書写」、高校で「書道」と呼ばれますが、その違いは明確化されています。「書写」は国語科において文字を「正しく」「整えて」「読みやすく」「速く」書くようになることが目的ですが、「書道」では芸術科において「美」を意識し、「書を愛する心情を育て」「表現と鑑賞の基礎的な力を伸ばし」「書の伝統と文化について理解する」こととなっています。小中高の書によって、実用的に書を用いることができるようになるだけでなく、人間的にも成長するというわけですね。人を表す書。主人公は、書をどのように自分のものとしていくのでしょうか。


もくじ。島民が話す五島列島方言も魅力的な本作ですが、各話の見出しだって方言から。タイトルの『ばらかもん』は「元気者」の意味

「型にはまった字」「つまらん字」とこき下ろされてカッとなり、手を出してしまう

「頑固一徹」「聖剣伝説」「焼肉定食」…書に打ち込む主人公と、書に興味を持つ少女・なる。なるをはじめ、さまざまな島民が次々とギャグを運んでくる

島に来て、新しい景色を見た主人公が一心不乱に書いた大胆な「楽」の字。「楽しかった」…自分が変わっていく
(C)ヨシノサツキ/スクウェア・エニックス