パパのミルクの作り方、プロテインだわw 赤ちゃんに転生した男の視点から育児あるあるを描いた転生漫画!

マンガ

公開日:2024/4/26

赤ちゃんに転生した話

「次にくるマンガ大賞2023」にもノミネートされた『赤ちゃんに転生した話』。タイトルを読むと、“転生”がメインの物語にも感じますが、本書の魅力はむしろ赤ちゃんの行動を医学的にしっかり解説した、育児書的な部分にあり。子育てあるあるを赤ちゃんの視点から見る、新しいマンガです。第2巻となる『赤ちゃんに転生した話2』(茶々京色/KADOKAWA)も発売されています。

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 主人公・撫倉和史はブラック企業で働くMR(医療情報担当者)。深夜ひとりで残業をしていると、咳と激しい胸の痛みを感じて意識を失います。そして和史としての記憶を持ったまま、とある夫婦の赤ちゃんとして産まれてくるのです。

 視界はぼやけるし、声もうまく聞き取れない……。赤ちゃんの体の不自由さに驚く和史を医学的な解説とともに描いたのが第1巻。例えば寝ている赤ちゃんをベッドに置こうとすると起きてしまう「背中スイッチ」は、子育てをしたことがある人なら聞いたことのある単語だと思います。それを本書では赤ちゃん側の気持ちで「ベッドに置かれた状態では足が床につかず、まるで平均台の上に置かれているような不安を感じる……」と表現されていてびっくり。「そりゃ寝れないわ!」と感じました。他にも様々な“赤ちゃんあるある”が元MRである和史ならではの視点で分析&解説されます。

赤ちゃんに転生した話

赤ちゃんに転生した話

 私にはふたり子どもがいますが、特に新生児は辛く大変だった記憶が。しかし本書を読んでからは「自分の気持ちを言葉にできない赤ちゃんも赤ちゃんで大変だったんだよな……」と当時を振り返れるようになりました。出産前に読めば、もう少し余裕をもって赤ちゃんと接することができたかも。もっと早く出会いたかった……!

 2巻では「エミ」と名付けられた和史が生後2か月に成長。予防接種を受けに行ったり、百日祝いのお食い初めをしたりとどんどん成長していきます。

赤ちゃんに転生した話

赤ちゃんに転生した話

 今巻も初めて熱が出た時の対応や、指などに髪の毛などが巻き付く「ターニケット症候群」の存在など、育児に関する知識が満載。中でも特に印象に残ったのが粉ミルクについてのエピソードです。パパが粉ミルクを作る様子を見ていたママ。粉の量を適当に測り、赤ちゃんの口に入る部分を触りながらシャカシャカとミルクを振る様子にママは怒ります。粉ミルクを作るときは必ず摺り切りで計量、熱湯で粉をとかしてから温度を調整するなど面倒な手順を踏まないといけないのですが、パパはそれを知らず。これだけでも育児あるあるとして面白く読めますが、本書ではなぜ細かい手順が必要なのか、理由を和史の前世(?)の知識も踏まえて解説してくれます。私自身二度も子育てしたのに、全然知らなかったこの理由。ぜひ本書で確認してみてください。

 2巻では過去の記憶として和史の両親も登場。幸せいっぱいとは少し違う生い立ちが明らかになります。また前世で和史の職場の主任だった女性・香也子がおばあちゃんとして和史の人生に再登場。1巻では空気の読めない義母として描かれていた彼女のまた違った一面も2巻では描かれています。さらに香也子を通して和史の死後、母が取った行動も明らかに。育児書としても転生物語としても楽しめる第2巻。育児経験のあるなしに関わらず、多くの人が楽しめる一冊です。

文=原智香

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