沖縄、福生、横須賀…基地の街で繰り広げられる若者たちの喧騒
公開日:2011/9/4
SEX (1)
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : 小学館 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:上條淳士 | 価格:432円 |
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「TO-Y」や「ZINGY」などを描いた上條淳士の作品。だがタイトルほどエロチックな場面はない。
物語は、修学旅行で沖縄にやってきた少女・カホが、幼なじみの少年・ナツを捜すところから始まる。だが、カホが出会ったのは、ナイフのように鋭い少年・ユキだった。
それからユキ、ナツ、カホ、別々に出会った三人は、福生で新しい生活を始める。なぜか、彼らの生活には闘争が付きもの。相手が米軍であったり、暴力団であったり。そして、ユキのライバルであり、過去に因縁のあるヒガとの対決へと進んでいく抗争劇が本作。本来ならば血で血を洗う暴力団の抗争が、「TO-Y」の上條淳士の手にかかると、限りなく透明に近いスタイリッシュアクションとなる。
「TO-Y」が、吉川晃司が「ラ・ヴィアンローズ」を歌っていた時代の空気を醸し出す作品だとすれば、「SEX」は、THE STREET SLIDERSが「Boys Jump The Midnight」を歌い、HARRY(村越弘明)と蘭丸(土屋公平)が太陽の下で暴れまわっているような匂いのする作品である。主人公・ユキ、ナツがHARRYと蘭丸をモチーフにキャラクターデザインされているのは、上條淳士ファンにとっては周知の事実。
そして最後、ユキ、ナツ、カホの三人は、輝く太陽のもと、地平線の果てまで基地の金網が続く道路をオープンカーで駆けていく。その光景は、長い人生で若者が輝く、ほんの一瞬なのかもしれない。夏は必ず終わるのだ。だが過ごした夏の思い出は、いつまでも変わらない。誰しも、その思い出があり、人はそれをオールディーズと呼ぶのだ。
ちなみに本作にも、上條作品には欠かせない「TO-Y」の登場人物・桃ちゃんが車の修理工で出ている。夜はGASPでドラムを叩いているのかな?
ユキの姿。80年代ファッション
ナツの姿
そして、カホ
御存知の方も多いとは思うが、上條淳士の背景は当時から評価が高かった
こういうパースは、当時斬新に思えたものです
ライバルのヒガ登場。でも、実はチャーミング?
清涼なる青春の最終頁 (C)上條敦士/小学館