「暗行御史の出頭だ!」歴史上本当にいた、韓国版の水戸黄門!

更新日:2012/2/9

新暗行御史 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:尹仁完作画 価格:432円

※最新の価格はストアでご確認ください。

むかしむかし、ジュシンという国があり、そこには「暗行御使」と呼ばれる隠密要員がいた。暗行御使は王の特使として、秘密裡に地方を巡り、悪政を糾弾し、庶民を救う、ジュシンの特殊官吏であった。いわば、その世界における水戸黄門のような存在である。しかし、そのジュシンが滅んだ今。いまだ、1人の暗行御使が浮世を流離っていた…。

advertisement

韓国版水戸黄門+韓国の神話や童話を題材にした、激しいバトルにも興奮必須の歴史ファンタジー!

私は小説や漫画が好きで、子供の頃から読んできましたが、そのほとんどが日本生まれのものでした。この『新暗行御使』では、韓国人作家だからこその斬新さにハッとしました。

在日コリアンである私はもちろん「暗行御使」という制度や「ジュシン」という国が実際にあったことを知っていたし、それを題材にした漫画であることと、あまりに緻密なタッチとに惹かれてこの漫画を読ませていただきました。すると、「えっ、まさかこんな展開?」「まさか、この人が…」「嘘だ、まさか!」と、始終驚きっぱなし! 一話の中で回収する伏線や、ラストに繋がる全巻をかけての伏線は、さりげなくかつ慎重に張られています。

漫画の世界に惹きこまれ、そのまま全巻購入で読んでしまった私でしたが、最後までずっと伏線に気づかず騙されっぱなしでした(笑)。外国人作家が手がけるからこその世界観・価値観の違いや、読者をあっと驚かせてくれるストーリーには、舌を巻いてしまいます。

キャラクターも味があります。悪い領主を正義感のある主人公・文秀がバッタバッタと倒していくのかと思いきや、その主人公が面倒臭がりの捻くれ者ときた!
「悪党共を相手するには、そいつらを出し抜くくらいにずる賢くなければならない。さもないと、暗行御使は務まらない」
口が悪くて思いやりがない、だけれどさまざまな困難に信念を持ち立ち向かっていく彼を、巻数を追うごとに好きになってしまうのですから仕方がないです。

強力な護衛・春香という仲間を得た後、物語の内容は急激に深くなります。文秀の過去やジュシンを滅ぼした文秀の友人、そして昔の彼の仲間たちを交え、国を、世界を、人間を救うバトルファンタジーへと転進していきます。

一度は全てを失った文秀が、同じものではないけれど、同等かそれ以上の価値がある大切な何かを取り戻して、滅んだ国の、人間の、何よりも自分自身のために、到底敵いっこない敵と戦いに行く。絶対的不利な状況で、文秀は何を思い戦うのでしょうか。その答えは十人十色のものがあると思います。

何があっても諦めない、くじけても諦めない文秀と共に、あなたなりの答えを探してみてください。

この時は、まさか彼が…だったとは思いもしませんでした

待ってました、キメ台詞! 「暗行御史の出頭だ!」

知らない方のための韓国童話の紹介ページもあります

緻密で圧倒的な迫力のバトルシーン! (C)尹仁完梁慶一/小学館