壮大なスケールで描く、近未来の日本興隆の物語

公開日:2012/7/27

太陽の黙示録 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:かわぐちかいじ 価格:432円

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大震災から、南北に分かれた日本。世界中に日本人避難民500万人が散り、水没した東京、火山灰の積もる南北どちらの国にも属さない「グレイゾーン」に自給自足の国を興す…、というその設定だけでもまずは拍手を送りたいです。

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壮大なスケールをどうやって描くのか、どんな風に真実味を持たせるのかが、作者の力量にかかってきますが、かわぐち氏の描く実直な人物像が、この物語に非常にしっくりとくる。突然始まる物語にぐいぐいと読者を引き込んでゆきます。

彼が動けば8万人がそろって動くというカリスマを持つ、主人公の柳舷一郎(りゅうげんいちろう)。火山灰の土地に上手い米を育てることから日本人の帰郷を目論む、そのロマンと単純すぎるほどの誠実さが、彼の武器。白いお米を敵対する人物に食べさせて、涙を流させる。体で日本を感じさせ、グレイゾーンへの第1次帰還10万人を送り込む。ともすると、大判風呂敷に「なんだかなぁ」としらけてしまうほどの設定ながらも、じわじわと読者を帰還者のひとりへと参加させるような手法はお見事。

世界の動向や、各国の動き、国連の介入や、メディアの規制と利用など、現代社会と国際政治のなんたるかも十分にわきまえて、物語はじわじわと展開してゆきます。
うーん。日本も存続の危機となったら、こんな風にカリスマ人物に救って欲しい。帰還民が新潟周辺に到着してから、東京~富士まで歩いて帰還する、その演出もニクイです。郷愁誘われることはなはだしく。これは映画化されてもおかしくない内容ですねぇ。すっかり愛国心を刺激されました。


彼の武器は「米」。きゃ~渋い!!

世界中の散った日本人避難民の有能な頭脳が、帰還計画を促します

日本の土地が住めなくなって、日本も移民大国となったら…

無血、不服従もカリスマ柳のかかげる帰還の第1条件