全員勇者! でも偽物がひとりいる!? ハイファンタジー×ミステリーの斬新さ

更新日:2012/11/8

六花の勇者

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 集英社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:山形石雄 価格:540円

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自称「地上最強」で勇者の少年・アドレットが、ほかの勇者6人と魔神を倒すために旅する物語…と本作はそんな王道な内容ではありません。アドレットを含めて集まった勇者は7人。しかし、この中にひとり、偽物がいる。それは誰なのか。犯人を推理し、解き明かすハイファンタジー×ミステリー作品です。

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魔神が復活するとき、勇者が6人集まり、復活を阻止して世界を救ってきたこと過去3度。勇者はいつでも必ず6人。そのため「六花(ろっか)の勇者」と呼ばれています。今回も、魔神が復活の気配を見せ、各地から勇者が集い魔神のために六花の勇者を殺す計画らしい。ただしそこには、ニセ者勇者がひとりいる。

ハイファンタジーの世界にいながら、壮大な冒険をするわけではなく、犯人探しをするという異色さ、斬新さ。王道ファンタジーや王道ミステリーもおもしろいけれど、この2つがミックスされるとこれほどまでに読む手が止まらなくなるのか、という新体験をぜひ味わっていただきたい! 疑心暗鬼に陥る勇者たち。そして、犯人扱いされて勇者たちに追われ、殺されかける主人公。深まるナゾと緊迫感に、手に汗握るはず。

ところで、難関校を受験する子どもの部屋には、なぜか、というかやはり、というか図鑑と推理小説が多い。受験では、例えば「この昆虫を精密に書け」といった出題があるので、図鑑の方はナルホドですが、どうして推理小説か? 答えはおそらく「問を解くのが楽しいから」だと思います。それは、勉強でも勉強外でも同じ。だから推理小説ならびにミステリー。

ちなみに、教育業界では多読が推奨されていますが、それは単に知識を詰め込むためではなく、想像力と論理力を磨けることが最大のメリットとされています。そういう意味では、想像力を刺激するハイファンタジー設定であり、推理力をくすぐるミステリー要素が大半を占める本作は、賢い子どもにもってこいの本ではないか、と気づいたり。もちろん子どもだけでなく、想像の羽を広げつつ、推理に頭をひねりたい大人にもピッタリです。ぜひ!


主要人物である勇者が合計7人(うち、ひとりは偽物)もいるので、「人物を覚えるのがタイヘンそう!」…と思うなかれ。本編の前に人物紹介のページが設けられています

冒頭からほかの勇者に追われているアドレット

「7人目はだれか」が本作の最大のナゾ!