本当に役に立つサイバラ流処世術指南書

おそらく日本一特殊で特異なマンガ家である、西原理恵子の「人生相談型エッセイ」。読者（どんな媒体のどんな読者か？ に関しては突っ込まない！）から寄せられた60の質問に対し、西原理恵子が解答する、という内容。
形式は、【設問】→【解説】→【結論】という解りやすい形式なのだけど、【解説】の部分を取り除いてみるとなんだかとても酷い。

例を挙げるとこんな感じ。

Q.使えない部下にイライラします。
A.ネジだと思えば腹も立たない。

Q.全社員にTOEIC受験が義務づけられたが、英語は超苦手なんです･･････。
A.フィリピン・パブに行け！！

Q.彼女のアソコが臭いんです。はっきり言うべきでしょうか。
A.しっかり治してしっかり舐めろ。

･･･いやもちろんこの結論に至るまでの回答が凄く理に叶っており、実際に受ける印象は説得力に溢れているのだけど、この一刀両断ぶりは見事と言う他無い。そもそもこの西原理恵子という人自体が得体の知れない説得力に溢れている人な上に、綺麗事の類を一切口にしない。そういうところに絶大な信用がある。

もし僕が怪しげなネットワークビジネスの勧誘を受けている、としよう。その時に勧誘員が、「知名度はまだ無い商品だけど、品質は保証付き。NASAでも使用されてる商品で、今なら中間マージンの無いお得な価格で手に入れられるのよ。良かったらお友だちにも紹介してあげて。あなたにもメリットがあるわよ！」とか言われたら、その勧誘員をニッコリ笑って罵倒するだけだが、もしこの勧誘を西原氏がやったら、「まだ殆ど誰も知らないから、先に15万払って5人騙してくれれば月に30万くらい入るよ！ ネズミっぽい話だから2年くらいしか持たないかもしれないけど、それまではボロ儲けだよ！」とか言って、コチラの心を揺さぶってくれそう。そういう人の方が、よっぽど信用出来ると思うんだなぁ、本当に。

そんな西原理恵子流の人生相談が、ありきたりの内容であるワケが無い。各章末では、綾辻行人・しりあがり寿・伊藤理沙・重松清・角田光代という著名人からの質問にも回答しており、その内容も強烈にして刺激的。そしてこの作品、純粋におもしろい！

タイトルに偽り無し。「生きる悪知恵」、正しくないかもしれないけど絶対に役に立ちます！