上杉柊平が選んだ1冊は?「『こち亀』は知識の宝庫、百科事典の見出しみたいだと思うんです」

あの人と本の話 and more

更新日:2025/2/6

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年2月号からの転載です。

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、上杉柊平さん。

(取材・文=松井美緒 写真=booro)

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 小説、ノンフィクションと幅広く読書をする上杉さんだが、「一番読みこんでいるのは多分これ」というほど好きなのが『こち亀』だ。

「両さんは普段ははちゃめちゃですけれど、人情に厚くて時々ホロっと泣かせるかっこいいことをする。町の人が両さんを愛するように、僕も両さんに惹かれます」
 料理やDIYなど多彩な趣味を持つ上杉さん。何でもやりたくなるのは両さんの影響かもしれないと言う。

「『こち亀』は知識の宝庫、百科事典の見出しみたいだと思うんです。科学技術やお金のことから料理、下町の歴史まで、あらゆるジャンルが描かれていて、それを入り口に自分でも調べたり。僕、小学校の自由研究は『こち亀』でしたから。両さんが生まれた浅草で、両さんの足跡をたどる。そうやって『こち亀』は、新しい世界を発見させてくれました」

 近年のコミックスには、ドローン物流、自動運転車、AIも登場する。

「時代を先取るテーマにつねにアップデートされていますよね。昔のエピソードを読み返すと、これ現実になってない?と既視感を覚えることも。未来予測的な先見性もあるんですよね。大人になってから、ますます『こち亀』の偉大さを感じます」

 上杉さんが出演する新ドラマ『プライベートバンカー』も、まさに今の時代をとらえた作品だ。

「人と人の間で起こる問題を、お金という切り口で描くのは非常に新しい試みです。しかも唐沢寿明さん演じる庵野さんは、富裕層をクライアントとしながら、弱者を救っていく。その展開が斬新で素晴らしいです」

 上杉さんが演じるのは庵野の優秀な助手・御子柴修。庵野と御子柴の信頼関係は、撮影現場での唐沢さんと上杉さんにも通じるところがある。

「ご一緒させていただくのは3作目ですが、ずっと気にかけてくださっているように思います。僕にしかできないこと、逆に僕にはできないこと。それを唐沢さんは見つけて教えてくださる。僕を自然に引っ張って、育ててくださいます」

 本作では、唐沢さんと鈴木保奈美さんが、地上波ドラマとしては33年ぶりに共演を果たす。

「鈴木さんは本当に素敵な方です。ドラマでは、鈴木さん演じる久美子さんは庵野さんの助手志願。二人の距離が近いので、御子柴はちょっと嫉妬しちゃっています(笑)。本作は毎回予測不能な展開の連続。僕自身、どう物語が進んでいくのかドキドキしながら楽しみにしています」

うえすぎ・しゅうへい●1992年、東京都生まれ。2015年にドラマ初出演。近年の主な出演作に、配信ドラマ『幽☆遊☆白書』『七夕の国』、映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』『ディア・ファミリー』『八犬伝』など。1月11日(土)放送の『となりのナースエイドSP2025』に出演。

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1〜201巻)
秋本 治 集英社ジャンプC 484〜770円(税込)
葛飾区の亀有公園前派出所に勤務する江戸っ子のお巡りさん、両さんこと両津勘吉。型破り、超絶セレブの後輩・中川と麗子、超堅物上司の大原部長など個性的な面々と日々ドタバタを繰り広げる。200巻で「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定。

木曜ドラマ『プライベートバンカー』
出演:唐沢寿明、鈴木保奈美、上杉柊平、土屋アンナ、MEGUMI、安井順平、吉田ウーロン太、夏木マリ、橋爪 功 1月9日(木)スタート 毎週木曜よる9時〜 テレビ朝日系 
●富裕層を相手に資産管理や資産形成の助言を行う、凄腕プライベートバンカーの庵野甲一。天宮寺アイナグループの社長から依頼を受け、相続争いや愛人問題、裏金疑惑など、天宮一族に渦巻く“金”にまつわる問題に向き合っていく。