『ONE PIECE』初代編集・浅田貴典が縦読み漫画アプリを手がける。ジャンプらしい「キャラの魅力」と「漫画家へのリスペクト」が詰まった集英社のチャレンジ【ジャンプTOON統括編集長インタビュー】

マンガ

公開日:2025/2/6

「ジャンプTOON」で人気の王道エンタメ『ラスボス少女アカリ~ワタシより強いやつに会いに現代に行く~

――ここからは浅田さんに「ジャンプTOON」の注目作を3つ紹介していただきます。まずは『ラスボス少女アカリ~ワタシより強いやつに会いに現代に行く~』。

浅田:本作は「悪いやつをスカッと殴る」という、シンプルに気持ちがいいエンタメの王道的な作品ですね。王道をやるなかで「これが面白い」と思ってもらうには、構成力だったり、キャラクターだったり、突出したポイントが必要だと思うんです。

――本作は、どのあたりがポイントだと考えていますか?

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浅田:まず、原作の岸馬きらく先生が、素晴らしいストーリーを作ってくれています。起こしは「なろう系」のベーシックな形から入って、そこから「ジャンプ作品系」の熱いバトル展開にシフトしていく、丁寧に個性を出していった印象です。

――戦闘シーンは動画を観ているような臨場感がありました。

浅田:作画部分は酒ヶ峰ある先生(キャラデザ・ネーム・作画・着彩担当)が本当にいい顔を描きますね。0.5mm線がズレてもこの表情の力にはならないので。アクションなども秀逸なんですけど、感情表現のこだわりがあるから、これだけ魅力的なキャラクターとして描けているし、読者にも伝わるのでしょう。

女の子の圧倒的かわいらしさ『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。

浅田:主人公が圧倒的にかわいいですよね。物語ってお客さんの心に訴えるスペシャルな部分がないと面白さを感じないんです。例えば『アナと雪の女王』はあの素晴らしい楽曲がスペシャルな部分でしょうし、それが無ければ脚本がどんなに良くても大ヒット、までいったか疑問です。

――本作でいうと、やはり「絵のかわいさ」がスペシャルなポイントでしょうか。

浅田:そうですね。役者の格というか、主演の女の子の圧倒的なかわいらしさ。ギャラの高い子供の役者ですね。この子がいる限り、読者はみんな作品を追っかけてくれるのでしょう。

――いかにも西洋ファンタジーらしい世界観もとても素敵だと思いました。

浅田:衣装や背景美術も素晴らしいです。ゴージャスな作品になっています。

斜線堂有紀の才能が遺憾なく発揮『きみのためのエデン

――最後にご紹介いただくのは『きみのためのエデン』です。

浅田:担当者が「斜線堂有紀先生という破格の才能にミステリー以外の作品を書いてもらいたい」と思い、スタートした企画です。「ラブコメ」をオーダーしたところ、当初は「『五等分の花嫁』みたいなハーレムものがやりたいです」とおっしゃっていたらしいのですが、想像をはるか上をいく企画の形を提示されました。才能を持った作家にフルスイングしてもらっている企画というのが伝わるとうれしいです。

――恋愛、デスゲーム、ミステリーと要素モリモリですよね。

浅田:そうですね。『エデン』は作品に含まれるアイデアの数が圧倒的だなと思います。毎話見どころを作り出していて、とにかく手数が多いですよね。キャラクターや要素が多いほど展開をシミュレートするのが大変なので、こういった作り方はとても難しいはずなんですけど、斜線堂先生はそれをやってのけるんですよね。

――ハーレム要素もあり、多彩なキャラクターのビジュアルも魅力的ですよね。

浅田:作画は、Whomorさんという制作スタジオにお願いしています。かわいいラブコメから迫力があるアクションまで得意なスタジオで、本当に良い作画をしていただいています。

――ヒロインたちが並ぶ背景にイメージカラーが塗られていているのも、フルカラーの縦読み漫画ならではだと思いました。

浅田:「アカリ」はアクション演出、「暗殺者」は華やかさ、「エデン」はヒロインの魅力など、フルカラーだからこそ、の魅力をお届けできていると思っています。

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