『ONE PIECE』初代編集・浅田貴典が縦読み漫画アプリを手がける。ジャンプらしい「キャラの魅力」と「漫画家へのリスペクト」が詰まった集英社のチャレンジ【ジャンプTOON統括編集長インタビュー】

マンガ

公開日:2025/2/6

議論を呼ぶ作品も内包する場所に

――これまで作品のことについて伺ってきましたが、最後に改めて「ジャンプTOON」の未来について教えていただけますか?

浅田:繰り返しになってしまいますが、たくさんの作家が多様性のある作品を生みだせる場所でありたい、ということですね。すごくフワッとした言い方になってしまうんですが、僕は「正しい作品」じゃないものも好きなんですよ。

――「正しい作品」とは?

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浅田:ふんわりした言い方になりますが、広く読者に愛されて「この作品が好きだ」と公言しやすい作品を、個人的に「正しい作品」と言っています。でも、他人には言いづらいけど、自分はたまらなく好き、という作品もあるじゃないですか。僕は「ジャンプTOON」がそういった作品を内包するような場所であってほしいと願っているし、あわよくば、そうした作品の中からヒット作が出てほしいと思っています。

――最後に、今後の編集者としての目標があれば、教えていただけますでしょうか。

浅田:常に目先の事をやっているだけですから、今後の目標と言われると難しいですが……。自分の経験を若手に伝えたり、会社の環境を整備したりして、下の世代が漫画を作りやすい土壌を繋いでいくことが個人的な目標ですね。

――本日はありがとうございました。ジャンプTOONの益々の発展を楽しみしております!

浅田:日本産の縦読み漫画が、電子で世界中の読者に読まれる、買ってもらえる、という状況になるまで5年はかかると思います。
そのなかで「ジャンプTOON」が存在感を示せればうれしいですね。私が定年退職になる前に、できるだけのことがやれたらと思います(笑)。

取材=金沢俊吾、文=一ノ瀬謹和、撮影=干川修

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