【KADOKAWAタテスクコミック編集部】社内コンテストからレーベル立ち上げ。スマホで読める「タテスクコミック」の魅力とは【インタビュー】
公開日:2025/1/24

スマホで読みやすい縦スクロール形式&フルカラーというスタイルの漫画を配信するKADOKAWAの「タテスクコミック」。レーベルのオリジナル作品や、過去の名作漫画の縦スクロール版も楽しめる。そんなタテスクコミック作品の魅力や、新しい漫画コンテンツの可能性について、タテスクコミック編集部部長の寺谷圭生さん、編集長の坂野聡さん、副編集長の塙利彦さん、編集の今井朱音さんの4人に話してもらった。
オールKADOKAWAの力で切り開くタテ&フルカラーという新ジャンル
――タテスクコミック編集部や、「タテスクコミック」というレーベル立ち上げの経緯を教えてください。
寺谷圭生さん(以下、寺谷):イノベーションプランコンテストというKADOKAWAの社内コンテストから生まれた新規事業です。海外でどんどん面白いコンテンツが生まれている中、KADOKAWAに、韓国発のウェブトゥーンの編集部を作ってはどうかという企画で、海外事業部の社員ら3人がグランプリをとりました。事業化を進めるにあたって、その3人をバックアップすべく、編集者や事業管理部の社員などの仲間が加わりました。
――KADOKAWAが縦スクロールコミックという新しいジャンルに挑む理由は何だったのでしょうか。
坂野聡さん(以下、坂野):KADOKAWAにとってはコミックス事業全体が成長領域ですし、大きく伸長しているウェブトゥーン市場への参入は大きなチャンスと捉えました。需要が見込まれるフルカラーコミックを高品質で安定的に読者に届ける仕組みはまだ日本になく、KADOKAWAグループの力を結集すれば、それが実現できるという確信があったんです。2021年1月の編集部立ち上げから4年やってきて、今、その手応えはかなり感じていますね。
寺谷:僕らは、オリジナルのタテスクコミック作品と、すでにある横読みのコミックスを縦化、カラー化した作品の2本柱でコンテンツを提供しているんです。KADOKAWAのレジェンド作品を、スマホで読める縦スクロールかつフルカラーで新しく世の中に送り出すことができれば、当時はまだ韓国発の作品がメインだった中で、日本のタテスク市場をさらに盛り上げることができるという見込みもありましたね。

縦スクロールの漫画はシンプルな読み心地で感覚的に楽しめる
――編集部の皆さんが考える、タテスクコミックの魅力は何ですか?
今井朱音さん(以下、今井):読みたくなった時にいつでも、気軽に読めることが一番の魅力だと思います。今、アニメや動画といったいろいろなコンテンツがあって、余暇に充てられる時間が限られる中で、漫画を含めて、ページをめくってじっくり読むという娯楽がスキマ時間に入り込みにくくなっているということを、同世代の友人たちの話を聞いていてもすごく感じるんです。
その点、縦スクロールのコミックは、横読みと比べて、1話のページ数も基本的には少ないですし、フルカラーなのでアニメや動画を観るのと近い感覚で読んでもらえます。読み方も難しくなく、シンプルに下にスクロールしていけば良いので、そういう手軽な読み心地が今の時代に合っていると思いますね。
塙利彦さん(以下、塙):タテスクコミックは「原則週刊」「ライトに楽しめるコンテンツ」ですので、これまでのKADOKAWAの読者層とはまた違うお客様との接点が持てるという点でも、可能性に満ちたジャンルだと思っています。
