魔法を生き物として「狩る」! 山暮らしの野生児が魔法界の常識をひっくり返す前代未聞の魔法ハンティングファンタジー『魔男のイチ』

マンガ

PR 公開日:2025/2/25

魔男のイチ西修:原作、宇佐崎しろ:作画/集英社

 女性しか魔法を使えないはずの世界に誕生した異色の魔法使いの活躍に、今、漫画好きの注目が集まっている。『魔入りました!入間くん』(秋田書店)の西修氏が原作を、宇佐崎しろ氏が作画を担当する『週刊少年ジャンプ』(集英社)の連載作品『魔男のイチ』(西修:原作、宇佐崎しろ:作画/集英社)である。

 何が異色なのか――それは魔法を使えるようになったイチが男性であるということ、そして生粋の野生児で狩人というところにある。舞台は魔法が生き物として存在する世界。魔法を習得するためには「大量の水を飲み干す」「火を1時間抱きしめる」など、その生き物が出してくるさまざまな試練を乗り越える必要があり、その試練を乗り越えた者たちを人々は「魔女」と呼んでいた。

 そんな世界で、魔女たちによる習得を拒み、これまで多くの命を奪ってきた「王の魔法」キング・ウロロと、「深淵の魔女」と呼ばれる魔女・デスカラスが激闘を繰り広げていた。この魔法が数千年間も魔女に習得されなかったのは、女性ではこの生き物に傷ひとつ付けられないからだ。彼女がそんな絶望的な事実を突きつけられた矢先、場違いな少年が乱入する。彼の名はイチ。齢6つの時に山に捨てられて以降、狩猟や採集の生活を送っていた彼は、事前に仕掛けていた罠にウロロを嵌め、いとも簡単に仕留めてしまう。そして女性しか魔法を扱えないはずの世界で、たった一人のいわゆる「魔男」が誕生してしまった。

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 イチは魔女とも魔法とも全く縁のなかった山暮らしの狩人だ。この世界の全ての命に感謝しながらも、著しい狩猟本能と闘争本能を抱え、生き物を狩ることを生き甲斐にしている。ただし、「食」を伴わない殺生は避け、相手がこちらに殺意を向けない以上こちらも殺意を向けてはならない。この絶対的ルールの中で生きている少年と魔法が掛け合わさった設定は面白くない訳がない。しかも、イチが取得したキング・ウロロは「超越特化魔法」と呼ばれ、どんな魔法でも呪文さえ正確に発音できれば修練なく最大出力で引き出せるという最強魔法だ。一発放っただけで3日間寝込むというデメリットはありつつも、魔法界の均衡を揺るがすような激ヤバ魔法を、魔法を何も知らない野生児が得たことで魔女たちは大騒ぎになる。予想外の行動をとるイチと、彼に振り回されるデスカラス。どんどん魔法の世界の常識を変えてしまう奇想天外な行動につい笑わされてしまう。

 魔女や魔法使いというとどことなく優美で賢いイメージがあったが、この魔男・イチはまるで違う。たとえば、この世界で魔女は魔法を畏怖すべき異形の存在として見ているが、イチは魔法という生き物を「獲物」として捉え、仕留めたい魔法を見つければ、丸一日その生態を泥くさく観察し、弱点を見つけ出そうとする。イチが狩りをする時のキラキラした瞳を見ると、こちらまでワクワクした気持ちにさせられてしまう。

 デスカラスとともに「魔法狩り」に出かけることになるイチは、これからどんな魔法と出会うのだろう。「雷狐」や「氷鮫」といった個性的な魔法たちの姿も必見だ。イチの突飛な行動と周囲の反応に「ギャグ漫画か!?」と思わされるほど笑わされるし、かと思えば迫力満点のバトルシーンは手に汗握る。ともに行動することになる仲間たちとの関係も気になるところだ。前代未聞である魔男の活躍に、きっとあなたも虜にさせられるはずだ。

文=アサトーミナミ

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©西修・宇佐崎しろ/集英社

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