“猫まんが界の巨匠”によるラグビー入門!そにしけんじによる、世界一ゆるくて楽しい『ラガーにゃん』【書評】
公開日:2025/1/20

人気も選手の知名度も上がり、今や国民的スポーツとなった日本のラグビー。しかし、盛り上がるワールドカップの試合をテレビなどで観ても、ルールがよくわからず応援を断念した人もいるのではないだろうか。詳しい人にルールを聞いてみても、説明がしにくいのかちゃんと教えてくれない……なんて経験もあるだろう。そんな人が、楽しみながらラグビーについて学べる漫画が『ラガーにゃん』(そにしけんじ/光文社)だ。
作者は、『ねこねこ日本史』や『猫ピッチャー』などを手がけるそにしけんじ氏。猫の魅力を知り尽くした彼は、そのゆるくて最強な猫パワーを活かしたストーリーテリングの名手だ。自身も高校、大学でラグビーを経験した作者が、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏のルール解説やトリビアとともに、ラグビーに奮闘するもふもふな猫たちの姿を描く。
ある日、ラグビーのフィールドに集まった15匹の猫たちが、心優しいレフリー・立川さんの指導のもと、「ラガーにゃんズ」として「猫ラグビーワールドカップ」を目指す物語。ラグビーボールの扱い方から始まり、スクラム、タックル、パスといったテクニックや、ポジションや反則などのルールを学び、練習を重ねていく。
ボールにじゃれてしまったり、タックル練習用のタックルダミーにスリスリしちゃったり、集まってスクラムを組んでいるとぬくぬくして寝ちゃったり……本能にあらがわず、それでもひたむきにラガーにゃんズとしてラグビーに打ち込む姿にひたすら癒される。
マイペースな猫たちのゆる~く進む練習と併行して、廣瀬氏が、そんな猫たちに共感したり、応援したりしながら、ラグビーのいろはをしっかりと解説してくれる。「このミスはちょっと恥ずかしくて味方に怒られる」「このポジションはおしゃべり好きなムードメーカーが向いている」などの小ネタも楽しく、ラグビーをグッと身近に感じられる。また、ノーサイドの考え方や、危険だからこそ「品位」が通底したルールなど、ラグビーの精神性についても理解が深まる。難しく考えることなく、リラックスして読んでいるだけでいつの間にかラグビーの基本ルールがわかってしまう、不思議な作品だ。
2巻の「猫ラグビー ワールドカップ編」では、ついに、猫ラグビー界の頂点を決める熱き戦い「猫ラグビーワールドカップ」が開幕。猫が入るとものすごく居心地のいい優勝トロフィーをめぐって、我らがラガーにゃんズが、「スコティッシュフォールズ」「ペルシャーズ」といった世界のラグビー猫代表たちと熱戦を繰り広げる。上品で激しい運動が好きではないペルシャーズ、人見知りでタックルができないロシアンブルーズなど、それぞれの猫種の性格が表れる試合展開が楽しく、猫好きにはたまらない。
続く3巻以降でも、「7にゃん制」(7人制ラグビー)、「車いす猫ラグビー」(車椅子ラグビー)、リーグ戦などのテーマでラガーにゃんたちが活躍。読み進めると、よりラグビーへの理解を深められる。ラグビーって難しいと感じる人こそ読んでほしい、癒しと優しさが溢れるラグビー入門書だ。
2025年1月に第6弾にして完結編の「ラガーにゃん6 猫ラグビー リーグ・ニャン編」が発売された。こちらもぜひ手に取ってほしい。
文=川辺美希