癒やされ必至の百合漫画が堂々完結! ふたりで暮らすために下した、彼女たちの大きな決断とは?『毎月庭つき大家つき』【書評】
公開日:2025/2/9

漫画編集者と元アイドルが一緒に暮らす日常を描いた『毎月庭つき大家つき』(ヨドカワ/KADOKAWA)は、2024年10月に完結巻となる第5巻が発売された。本作は、ヨドカワさんの美しいイラストで紡がれる百合漫画。ゆるりとした日常に癒やされること必至の作品だ。
主人公の須賀アサコは、その面食いとお人好しな性格が災いして彼女にフラれ続けてきた漫画編集者。同棲したパートナーに出ていかれ、心機一転するために新しい部屋を探していた。そうして内見した新居は、なんと屋根裏に住む「大家つき」の庭つき一軒家で、元アイドル・北野ミヤコと一緒に暮らしはじめることに。
大家と住人という不思議な関係での共同生活だったが、何だかんだと上手く回っていく。少しずつ距離を詰めながら暮らすふたりの姿は、見ているだけで思わず温かい気持ちにさせられるほど。食材や日用品に使う金額のすり合わせをはじめ、他人同士の共同生活ならではのやり取りを見られるのも楽しい。
こうして一緒に暮らしている内に、お互いが特別な存在になっていたふたり。想いを伝え合い、恋人として暮らしていたのだが、5巻ではミヤコの“元アイドル”という現実が重たくのしかかる。ミヤコがリーダーを務めていたアイドルグループ・エルムのメンバーと会っているところを週刊誌のカメラマンに撮影され、記事を出されてしまうのだ。
まったくその気はないのに、「アイドルへの復帰」を話題にされてしまったミヤコ。ただでさえ変装しなければアサコと出かけられなかったにもかかわらず、もはや出歩くことすら難しくなってしまった。多方面へ迷惑をかけている事実に心が折れそうになるのだが、アサコとの幸せな生活を取り戻すため、アイドルとしての過去と向き合うことを決意する。
“卒業ライブ”の開催という形で、自分とファンに対してけじめをつけようとするミヤコ。一方で、アサコもまた、ミヤコのためにある大きな決断を下そうとしていた。果たして、ふたりはどんな未来を選ぶのか――。読めば読むほど「ずっと続いてほしい」と願いたくなるほど尊いふたりの日常を、ぜひ最後まで味わい尽くしてもらいたい。
文=ネゴト / 押入れの人